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「日本一新運動」の原点―267

             日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇 安全保障法制関連法案を廃案にする〝死角〟がありますよ!(2)

 (「違憲立法」を強行する恐怖の安倍政治の背後を考えよう)

 

 1昨年(平成25年)の暮、「特定秘密保護法」を強行成立させた安倍政権は、2年も経ずして「安全保障法制関連法案」を強行成立しようとしている。これらの法制度の特色は「憲法の解釈改憲」である。「特定秘密保護法」の成立は憲法21条(集会・結社・表現の自由・通信の秘密)の国会による解釈改憲であった。このたびの「安全保障法制関連法案」は、憲法9条(戦争の放棄・軍備及び交戦権の否認)の改正を、国会の立法によって解釈改憲しようとするものだ。

 

「特定秘密保護法」は、「基本的人権」を保証する日本国憲法の根幹を崩壊させた。今回の「安全保障法制関連法案」は、「戦争を放棄する平和主義」として、国連憲章を体した人類の理想を明文化した「世界遺産的価値」の憲法9条を踏みにじるものである。二つの関係は、後者の解釈改憲とその施策を安易の行うために、前者を先行させたものである。

 

 憲法には改正手続が整備されており、安倍政権がどうしても改正の必要があると考えるなら、堂々と憲法の改正手続によって両院の、それぞれ、3分の2以上の賛成と国民投票によって対処すべきことだ。それを「基本的人権」「平和主義」の最重要項目を、「国民主権」を否定してまで断行しようとしてる。理由は、正規の手続きでは改憲が実現しない、すなわち、国民から拒否されることが明白であることから、政治的詐欺によってことを進めようとしているのである。

 

 これは立憲主義―憲法に基づく政治を否定するクーデター、革命といえるものだ。そこまでして何故、いまこの時期に解釈改憲をするのか、その政治を動かしている〝原点〟がほとんど議論されていない。単に安全保障―軍事面の問題ではない。人類の存立に関わる問題である。現代の国際政治を動かす主人公は国家ではない、というと驚く人がいると思うが、別の角度から実体をよく見れば、それぞれの国家を動かしている主体は政治家ではない。裏・表で政治家を動かしている〝妖怪〟がそれぞれの国にいる。資本主義国でいえば強欲資本家たちである。

 

 安倍首相が憲法の基本的人権と平和主義と国民主権を侵してまで「特定秘密保護法」を成立させたり、「安全保障法制関連法案」を何故行うのか。その理由を、祖父岸信介元首相へのコンプレックスという論があるがそんな個人的な問題ではない。私には恐ろしい歴史背景を感じる。

 それは21世紀の資本主義の構造変化に原因がある。20世紀後半からの資本主義は、資源と環境問題により実体経済での成長に限界が出るようになった。20世紀末には米国を中心に、金融工学という手法によるマネーゲームが激化し、21世紀に入って実体経済の成長に期待できない資本主義は、金融資本のマネーゲームで世界中の経済を支配するようになる。マネーゲームによる「弱肉強食資本主義」は、資本主義の性格を変質させ、格差社会やテロ社会をつくりだした。そして「神の摂理」に反した資本主義は、2008年のリーマンショックで崩壊への道を歩み始めていく。健全な資本主義に改革するさまざまな提案の中で、あくまでも貪欲な経済成長を求める資本家は、新しい欲望を探し始めたのである。

 

 安倍政権をつくりだしたのは、日本国民の総選挙という制度であったが、それは表向きのことで実体は新しい欲望を求めた資本家たちであった。その中には、これまでは社会の木鐸と信じられていた「マスメディア」が、ごく一部を除いて、裏社会のごとく暗躍するようになる。そして、米国が失敗したはずの「マネーゲーム資本主義」を、日本では「アベノミクス」と称してまね事を始めたのである。

 

「アベノミクス」の失政が見えはじめ、日米の「悪徳資本家」が、次に始めようとしているのが、世界中に軍事的緊張をつくりだし、軍事産業を拡大して悪魔の利益を追求していくことである。安倍政権の原発再稼働や、輸出、武器輸出の促進や共同開発、そして「集団的自衛権行使」の安全保障法制整備である。それは米国の軍事活動と一体化していくものだ。

 軍事産業を活性する資本主義による経済成長が、人類を滅ぼすことを知る世界の日本研究者約400人が、安倍首相の「歴史修正主義」を危惧している理由はそこにある。安倍首相を突き動かしている背景の資本が問題である。彼らにとって「日本国憲法」は邪魔なのである。

 

 5月20日の党首討論でも、26日の本会議質問でもこの本質的問題を野党が提起していない。侵略者は常に「平和のため」と強調する歴史を、なぜ、安倍首相に投げかけないのか。

  



〇 平成の日本改革の原点 (第10回) (海部政権での政治改革の挫折) (3)

 

 平成3年9月30日午後2時40分から、衆議院政治改革特別委員会理事会が開かれた。小此木委員長が、海部首相が命運を懸けた「政治改革3法案」を審査未了とする「委員長発言」をすることになる。前回のメルマガ(265号)で説明したように小此木委員長と私で数十回協議して、練り上げたものだ。

 

 私の狙いは国会の手続きで「審査未了」となっても、政治的には事実上継続した課題とすることであった。長文の「委員長発言」であるが、要点を紹介すると3項目あって、第1項目は「審査未了とした理由を、各党の議論が噛み合わず、国民が期待する審議を行えなかったこと」とし、第2項目は「政治改革が現下政治の最優先課題という認識をもて」ということ。それに続けて、

3、政治改革にあたって国民が期待していることは、まず、衆議院議員定数配分の違憲状態を一日も早く解消することであり、同時に、政策本位、政党本位の選挙制度及び政治資金について適正な制度を実現し、21世紀を迎えるにふさわしい政治システムづくりに着手することである。政治改革の灯を消さないために各党の代表者などによる協議機関を設け、これらの諸問題について協議を行い、早急に結論を得ることを要請する。

 ということであった。

 

 10月4日には、自・社・公・共・民の幹事長・書記局長会談が行われ、「政治改革協議会及び実務者会議」を設置して各党での協議を行うことになる。検討事項として、政治倫理・政治資金・国会改革・選挙制度を決め、活動は必要に応じ両院議長に報告する、というものであった。

 ところが翌5日、海部首相は10月27日に予定されている次期自民党総裁選挙に立候補しないとの意向を表明することになる。何故、こんな流れになったのか、原因は海部首相が小此木委員長発言で、政治改革3法案を審査未了にしたことを「知らなかった。重大決意をする」と9月30日の小此木委員長発言直後、改革派の若手議員に語ったことが、衆議院の解散を予告したと報道されたことによる。海部首相は解散を避けたい経世会(竹下派)から支持を失っていった。

 

 海部首相の退陣表明により、自民党の政治改革本部では伊東本部長と後藤田副本部長が辞任を表明する。「政治改革協議会」という各党協議機関をつくったものの、自民党内は次期総裁をめぐって政局は慌ただしくなる。こうして海部首相による政治改革は挫折した。

 

(宮沢政権の出現)

 海部首相の次期自民党総裁選挙への立候補辞退で、宮沢喜一・渡辺美智雄・三塚博の3氏が立候補を表明した。経世会の金丸信会長は、自派から総裁候補を出すことにこだわり、病気から回復したばかりの小沢一郎会長代行を擁立すべく、本人に何回も何回も決断を迫った。小沢会長代行は「総理にふさわしい先輩がいる。自分はその任に非ず」と頑なに断った。金丸会長は小沢擁立を諦め、立候補声明をしている3人から、経世会として誰を候補に推すかを、面談するよう小沢会長代行に一任した。

 

 これが小沢さんのイメージを悪くしたと報道された。「総裁面接事件」である。私が後日、渡辺美智雄氏から直接聞いた話だが、「小沢氏側から訪問するとのことだったが、お願いするのはこちらだからと、3人とも小沢事務所に訪ねることになった。実に丁寧な対応だった」とのこと。

 自民党総裁には宮沢喜一氏が選ばれ、第122回臨時国会召集日の11月5日、宮沢内閣が成立する。宮沢首相は所信表明で、「前内閣が提出した政治改革関連3法案を叩き台として議論し、1年をめどに結論を出す」と発言した。これまで政治改革に消極的だった宮沢首相も海部政権の方針を無視できなかった。

                         (続く)

 

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