「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―83

日本一新の会・代表 平野 貞夫

 

(「国民の生活が第一」について)

 
 好青年の風貌漂うブータン国王夫妻が来日して、GNH(国民総幸福量)が大きな話題になってテレビでも特別扱いのニュースになっている。これは前国王が提唱した考え方である。それを知らなかった私は10年ぐらい前、ある「政策シンポジウム」で「GNP」(国民総生産=Gross National Product)という経済指標は20世紀の資本主義の考え方で、それで競争するのはナンセンスだ。21世紀では“国民幸福指数”を理論化して、それで競争すべきだ」と発言した。

 私の思いつき発言に会場から質問があり、「そんなことを経済指数にできるわけがない。口にする限り、何か理論的案を考えているのか」と。

 困り果てた私が「例えば“所得”を“欲望”で割るとか、新しい発想をすればよい」と言うと、「欲望なんか指数になるか」とのヤジが飛び、会場は大爆笑となった。私はすっかり恥をかいたことになった。

 ところが1年ぐらいして、このシンポジウムに参加していた友人が、「ブータンの国王が、君と同じようなことを言っているよ。面白い発想だから研究してみろよ」と励まされた。ブータンという未知の国に行ってみたいと思いながら、これからの人間の生き方、人間社会のあり方の根本を勉強し直そうと思っていた。

 平成19年7月の参議院通常選挙で、小沢一郎代表の民主党は『国民の生活が第一』を政治目標とした。これを実現するための政策が国民に支持されて参議院選挙に圧勝した。

 次いで、平成21年8月の衆議院総選挙では、この理念と政策を深化させて、民主党は歴史的政権交代を実現した。多くの日本人は、小沢一郎という政治家が主導した『国民の生活が第一』という思想に、「国民総幸福量」と同じような発想を感じたのではなかろうか。

 ところが、政権交代を実現した民主党は鳩山政権ですら、小沢前代表を幹事長に選任しながら政策の協議決定から外した。メルマガでも「政党と政府のあり方に大きな問題がある」と、私は言い続けてきたのでご記憶の読者は多いと思う。この件に関しては、11月19日(土)夜の、田原総一朗氏とのネット対談で、小沢さん自身が語っているのを耳にされた方もあるだろう。

 以来、『国民の生活が第一』の政治目標はかげりを見せ、菅政権となって否定するようになり、野田政権になってからも違う政策が積極的に行われるようになった。TPP・消費税増税問題などの野田首相の言動をみれば説明の必要はなかろう。若きブータン国王の訪日を機会に、「国民総幸福量」論と『国民の生活が第一』を一体とした総合的政策をとりまとめるべきだ。

 

(北陸三県の「幸福度指数」が高い理由)


 11月16日(水)、久しぶりに富山市を訪ねた。かなりきつい日程だったが、時事通信社の内外情勢調査会富山支部で講演をするためだ。演題は『政治家・小沢一郎を語る』である。演題は、今年になって内外情勢調査会の指示を受けてのことで、私が望んだわけでは決してない。講演では、小沢さんにも了解をとらず、勝手なことをしゃべっている。全国には「政治家・小沢一郎」に期待している人たちが大勢いるのだ。

 富山市の講演では、ブータン国王の「GNH」(Gross National Happiness)にふれた流れで、最近、法政大学大学院の、坂本光司教授研究室が発表した「47都道府県の幸福度に関する研究成果」を話題にした。これは国が発表した社会経済統計のうち、40の指標を独自の手法で点数化して「都道府県別幸福度ランキング」としてまとめたものだ。

 40項目の指標とは次のとおり

■生活・家族部門(9指標) 出生率・未婚率・転入率・交際費比率・持ち家率・畳数・下水道普及率・生活保護比率・保育所定員比率

■労働・企業部門(10指標) 離職率・労働時間・有業率・正社員比率・ 就業希望者比率・就業期間・完全失業率・障がい者雇用比率・欠損法人(赤字企業)比率・平均工賃月額

■安全・安心部門(12指標) 刑法犯認知数・公害苦情件数・交通事故件数・出火件数・労働災害率・地方債現在高・負債現在高・貯蓄現在高・老人福祉費・手助け必要者比率・悩みストレス比率・相談できない人比率

■医療・健康部門(9指標) 休養時間・趣味娯楽時間・医療費・病床数・医師数・老衰死亡者数・自殺死亡者数・平均寿命(男)・平均寿命(女)

(詳報は、http://www.hosei.ac.jp/koho/photo/2011/111110.html) 

 都道府県ランキングは、第1位福井県、評点平均7.23、第2位富山県、同7.20、第3位石川県、同6.9であった。調査の対象とした40項目は、いずれも「国民の生活が第一」を構成するもので、重要な指標である。国民の生活が国策として或いは、自治体の政策目標としてどのように位置づけられているかを理解するため、貴重な研究だ。

 この研究成果の内容を知って、私が強く興味を持ったのは、第1位から第3位までを北陸3県(福井・富山・石川)が占めたことである。指標のほとんどが国の政策や税金を基にしているので、本来であれば、自治体間で大きな差はないはずだ。さらに、北陸3県より財政が豊かな自治体は他にも沢山ある。何故、北陸3県が「幸福度」で上位を独占するのか。これはよく検証しなくてはならないことだ。

 まず、「幸福度」という限り、指標に使用される予算的・施設的額などだけで判定するわけにはいかない。指標の中には行政の成果だけではなく、地域住民の生活実感が入るものも多くある。となると、国や自治体が発信する行政の量や質だけでなく、それを受けとめる住民の意識が大きく影響する。住民の生活感が幸福感となり、それが「幸福度」につながるのではないか。そこで私の推論だが、北陸3県の人々の「生活感」や「幸福感」の特徴に鍵があるのではないか、ということだ。健全で柔軟で自己中心主義でない「生活感・幸福感」が、行政効果を向上させているのではないか。もう一歩進めて考えると、北陸三県の文化や歴史にヒントが隠されていると思う。

 日本一新の会の活動目標の一つに、「自立と共生による社会づくり」がある。「共生」とは、浄土宗・浄土真宗系の『総願偈』(そうがんげ)というお経の最後の行にある「共生極楽成仏道」(ぐしょう ごくらく じょうぶつどう)からのことばだ。北陸3県の歴史と文化は、仏教信仰の深いことで知られている。こういう伝統文化というか、生活文化が「足るを知る」といった健全で柔軟な生活感や、幸福感の背景にあるのではないか。

 「共生」という思想は、「共に生き、共に幸せになろう」という仏教文化から発信されたものである。歴史のある段階で、封建支配の手段として活用されたこともあったが、その方法は間違っている。大事なことは、自立した個人が共生という歴史文化を、21世紀の人間社会にどう生かすかにある。

 北陸3県の「幸福度ランキング」上位独占の研究成果に、これからの「安全で安心の共生社会」を創造するヒントがあると思う。

 参考までに、第4位鳥取県、第5位佐賀県、第6位熊本県、第7位長野県、第8位島根県、第9位三重県、第10位新潟県と、人口も少なく、経済規模も大きくない県が上位を占めているのも特徴的である。

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