「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―93

日本一新の会・代表 平野 貞夫

 

(国会論議に欠けた政治家の歴史観)


 第180回通常国会が1月24日から始まり、野田首相の施政方針演説に続き各党の代表質問が終わった。これから予算委員会を中心に、本格論議が行われる。代表質問までの論議について印象を述べたい。

 まず、野田首相の施政方針演説だが、言葉の修文に気をとられ、やたらに形容詞の使い方を重点とした演説といえる。演説に『魂』がない。その原因は、21世紀も10年を過ぎた「現代」に対する歴史認識がまったくないからだ。演説のはじめに次の発言がある。

「わが国の政治過程において、今、俎上に上っている諸課題は、幸いにして世界各地の民主主義国家で顕在しているような、深刻なイデオロギーや利害の対立をはらむものではありません」

 この歴史認識が根本的に誤っている。こんな人物を、首相としておくことがわが国の悲劇だ。「日本では世界各地で顕在化しているイデオロギーや利害の対立はない」と断定しているが果たしてそうであろうか。確かに、米ソ対立時代のような資本主義対共産主義といったイデオロギーの対立はない。それだけがイデオロギーの対立ではない。生活のめども立たず、不安と絶望で活きている人々の声が聞こえないようだ。


 米ソ冷戦終結の後、世界は一時期資本主義の勝利として、人類は繁栄と平和な時代となると期待した。しかし、驚異的な技術の発達とグローバル化により、現実はそうは進まなかった。宗教対立にからんだ資源獲得競争、マネーゲーム化、金融資本主義の腐敗、排他的資本主義の激化によって実体経済は崩壊した。そしてこれらの相乗効果が、世界中に差別と格差をつくり、人類社会は「パンドラの箱」を開けたようになっている。わが国でも例外ではない。

 要するに野田首相は、米ソ冷戦が終わって「ポスト冷戦」の中で変形した20世紀型資本主義を前提として、政治運営や政策を考えているのである。「社会保障と税の一体改革」という発想はその例である。社会保障を賄うため消費税を増税すると言えば、国民は納得するという認識に問題がある。年金改革の民主党構想を実現することになると、17%程度の増税が必要となる時代だ。国民から厳しい批判を浴び、野田政権の消費税増税戦略は破綻した。

 重要なことは、現代は「ポスト冷戦」の歴史認識ではやっていけないということだ。「ポスト・ポスト冷戦」という歴史認識をもつことが必要である。それは20世紀型の資本主義は崩壊したという歴史観である。所有欲求という価値観を開放させ、情報社会化とグローバル化した市場で、排他的競争を展開した結果が、2008年のリーマン・ショックであり、2011年のユーロ危機だ。マネーゲーム資本主義が妖怪として、世界中を暴れまわっているのが現代である。

 マネーゲーム資本主義の暴走に対して、世界中の民衆はそれぞれの場所で、それぞれの立場からいろいろな方法で戦いを始めている。それは「マネーゲーム資本主義」というイデオロギーに対する抵抗である。わが国では暴動のような事態はないが、平成21年8月30日の総選挙による民主党への政権交代は、「国民の生活が第一」という政治理念の勝利であった。その原動力は「国民の生活が第一」というイデオロギーなのだ。

 「国民の生活が第一」というイデオロギーで、歴史的政権交代を成功させたはずの民主党が、1年もたたないうちに政権公約(マニフェスト)での約束を破り、消費税増税を官僚の手先になって主張する。2年目にはかつての自民党政権よりも質の悪い政治を展開するようになる。大震災の復興も見せかけで、国民・人々を冒涜する政策を反省もなく続けている。これに対する自民党をはじめとする野党の追及が、まことにだらしがなく腰が入っていない。

 衆参両議院本会議での各党の代表質問を聞くに、現代の世界・わが国に迫る真の危機に対する認識がまったくない。それは「マネーゲーム資本主義」の害に対する政治の対応についての認識と主張がないことだ。民主党が国民を裏切り、菅首相・野田首相は、米国の金融資本と繋がる官僚・メディア・財界らの手先となって、「マネーゲーム資本主義」の維持と発展の政治を展開している現実を何故攻撃しないのか。、まず、民主党の国会議員は政権公約の原点に戻れという活動に全力を挙げるべきだ。

 野党の中には、国会議員の定数削減や国家公務員の給与カットなど、公務に当たる人間が身を切ることで、10%への消費税増税を認める主張もある。メディアの誘導で世論にもこれを支持する流れもあるが、次元の異なる問題で事態を混乱させるだけだ。仮に、10%の消費税増税を強行した場合、不況と消費を深刻化させ自殺者を増やし、財政をさらに悪化させることは必定である。それこそマネーゲームのヘッジファンドの餌食となる。

 野田首相と御用学者は、「もし消費税増税反対派が政権を獲ると、日本は財政再建できないとしてヘッジファンドが日本国債のカラ売りを始める」と脅しているが、とんでもないことだ。消費税増税で財政再建できると思っている国会議員は政治家を辞めてもらいたい。真の財政再建は、まず20世紀型資本主義は崩壊したという歴史認識から始まる。そして「マネーゲーム資本主義」を続け、実体経済を混迷させる市場経済を続ける限り国家財政は永久に再建されないことを理解するべきだ。

 「国民の生活が第一」とする市場経済社会をつくることによって、財政再建は可能となる。それは国家の仕組みを抜本的に改めることから始まる。民主党が公約した予算の組替えなるものも、腰砕けになっている。先般、会計検査院が特別会計で1兆円を上まわる不当使用を指摘した。これは現行制度上のことだが、政治が政策的判断で選択するなら10倍の財源の拠出は可能である。


 北欧諸国で、何故、高税率の消費税が可能か、それは政治・行政・司法・財政がしっかりと国民から信頼されているからである。さらに、高負担であっても、現在・将来にわたって「安心・安定」の生活が担保されているからだ。「国民の生活が第一」の国家社会をつくるため、どんな仕組みをつくればどのくらいの財源が必要か。そのため国民の負担をどのようにすればよいのか。国民的コンセンサスをつくろうというのが、民主党への政権交代の国民の期待であったはずだ。

 消費税制度を導入した昭和63年秋、竹下内閣は、これが将来わが国税制の中核となることを見越して、戦後の行財政全体にわたってその抜本的改革を宣言した。それがほとんど実現せず、政治家や官僚への不信が深まる中で、消費税を大幅に増すことは、消費税制度そのものの信頼性を失うことになる。

 財政再建は「焦眉の課題」と、国会で叫ぶ政治家がいるが、財政再建に反対する日本人はいない。問題はいかにそれを効果的にスムーズに行うかである。ヘッジファンドの手先として活躍している政治家が、「焦眉の課題」と国会審議で絶叫することに、すなおに賛同できない。

 坂本龍馬の「四観三元論」で、あらゆる角度から考えると、消費税増税10%への強行は亡国の政策である。空観・離観・影観・表観で国家財政を観察し、これからの対応を「陰・陽・律」という三元論で龍馬に語ってもらおう。

『わしらが命をかけた日本の維新は終わっていないぞ。もう一度国民が納得する国の洗濯をしろ。付け焼き刃の社会保障と税の一体化にごまかされるな。真に国民の生活に役立つ負担なら人々は理解する』

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