「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―111

 

日本一新の会・代表 平野貞夫妙観

 

◯ 改めて感動した小沢一郎氏の見識


 5月24日(木)、JR柏駅発の特急フレッシュひたち号に乗って、上野駅に入りかけた午後1時すぎ、突然小沢さんから携帯に電話が入った。「今、どこにいるのか?」と聞くから「特急列車の中です」と答えると、東京を離れていると誤解したらしく「大事な時に東京にいない!」とのこと。「上野駅についたところだ」というと、笑いが出て久しぶりに会うかということになった。

 実は、消費税増税審議も始まり、小沢控訴審の大まかな日程の見通しもできたところで、私も会いたいと思っていたところだった。体調不良とのことなので、最近の政治状況への意見をメモにして届けておこうと用意していたところだった。赤坂の事務所で約1時間懇談したが、大袈裟にいえば「天の配剤」といえる。改めて政治に臨む覚悟を聴いた。

 私の顔を見るや「週刊朝日の爆弾証言」(谷垣自民党総裁らの夫人同伴海外旅行で官房機密費を使った話)を話題にして、「後期高齢者になっても、相変わらず世間を騒がせて・・・・」とのこと。「品の悪いことをして、迷惑をかけているかも知れんが、私は今回の消費税増税を許すことができない。自分のできることで阻止したいからだ」というと、二人で苦労した「売上税廃案・消費税導入」の思い出話や、敗戦後の税制改革で苦労した先人たちの話となった。

 

(進駐軍が強制する「割当課税」を首を懸けて阻止した前尾主税局長)


 私の人生の師・前尾繁三郎元衆議院議長は、敗戦直後の昭和22年~23年の片山内閣時代、大蔵省主税局長を勤めた人物だ。よく聞かされたのは、「進駐軍が使う終戦処理費のための割当課税を強制された話」であった。GHQからの増税要求をことごとく拒否したが、最後に、目標額を税務署に請け負わせて、これを至上命令としてとらせる「割当課税」を強制してきた。

 これに対して前尾主税局長は「あまりにも国民を欺き弄ぶものであって、税務の威信は一朝にして崩れてしまい、悔いを長く残すこととなる。やるなら私の首を切ってからにしてくれ」と開き直った。日本政府は困り、池田勇人大蔵事務次官が前尾主税局長を説得し、大阪の造幣局長に転出したうえで退職した。これを機に、前尾先生は昭和24年1月の衆議院選挙に出馬して政界で活躍することになる。

 前尾主税局長がGHQに抵抗した理由は、占領時代とはいえあまりにもひどい増税要求に、自分が犠牲になって進駐軍に反省を促すためだったと、「私の履歴書」(昭和49年)で述べている。その後の占領時代の税務行政は、進駐軍が税務署を直接監視し非常識な税務執行が行われ、世の顰蹙をかった。しかし、「割当課税」は実施することはできなかった。

 前尾先生は常日頃、租税のあり方について私にこう語っていた。「政権はいかなる時でも〝増税しない〟と公言してはいけない。国家の緊急非常事態はいつ発生するかもわからないからだ。しかし、増税、ことに大きく国民に負担を求める時には、正義にもとづく理論がなければ、国を滅ぼすことになる」と。

 

(野田首相の消費税増税10%論に正義はない)

     まず、議会民主政治の正義に反するといえる。マニフェストに入っていないだけではなく、政権交代の総選挙の際「任期の4年間は消費税は上げない」と公約した。これを「消費税増税の法律を成立させても、実施しなければよい」と言っている。これは国民を愚弄し、騙すもので不正義である。不正義でも増税しなければならない客観的事情があるのか。

     野田首相は、多額の国債を抱えた財政悪化を是正するためと公言し、社会保障と税の一体化を見直すとのこと。段階的消費税増税とはいうものの、10%の増税が断行されると30兆円前後の税収となる。これは国家税収の3分の2以上の中核税制となり、租税制度の性格を変更するものである。ということは、「国のあり方、国の性格の変更」を伴うものだ。社会保障も大事なことだが、混迷し変質する資本主義に、日本国としてどう対処するかという、国民的議論のなかで消費税のあり方を究明すべきではないか。

     もっと重大なことは、現在の世界経済の実態をどう認識するかにある。小沢さんは、「ヨーロッパの経済混乱はユーロを破綻させ、ドルを巻き込み、収拾のつかない事態が目前に迫っている。日本の責任は大きい。このままの政治ではいけない」と、高揚して語り始めた。私は世界恐慌を想定したわが国の政治体制と政策を考えていると感じた。「こんな事態で生活必需品をも一括して消費税増税10%に強行すると、人口の約4分の1にあたる3千万人ぐらいの人々が路頭に迷うことになる。国の財政はさらに悪化することは確実だ。『国民の生活が第一』どころか、最悪になる政治を、自民党と手を組んで強行する野田政治には困ったものだ」と私が興奮して話すと、話題は政局に移った。

 

(いまの政局は、政権交代した民主党と自民党の対立ではない)


 昨今の「消費税増税」をめぐる国会内外の議論について私の感想だが、消費税増税をしないと公約した民主党と、増税すると公約した自民党が対立する政局ではない、ということだ。消費税増税に生命を懸けるという野田民主党政権に対決する自民党は、「消費税増税に反対する小沢を切れば賛成してやる」(最近では決別といっている)と、野田首相に迫っている。

 この構図は、消費税増税をめぐる政策論議ではなく、「小沢」を(政界)から切るか、切らないかの論議である。その理由は消費税増税に対する世論の反対にある。生命を懸けて、野田政権の消費税増税を支持する巨大メディアが工作する世論調査でも60%が反対である。ネットの調査だと80%以上が反対だ。その中で小沢さんを政界から排除すれば、小沢グループが霧散して消費税増税が実現できるからだ。

 私が「いまの政局は、質(タチ)の悪いずるい自民党と、民主党の名を騙った頭の悪い野田自民党政権の対立といえます」と言うと、小沢さんは「それじゃぁ、米ソ冷戦終結後の自民党政治時代と同じではないか」とのこと。「そうです。当時と違うのは、日本政治の奥底にある既得権を持つ悪霊が何か、それが国民の福寿と国の発展を妨げてきたという事実をようやく国民がわかりかけてきたと思います」と話すと、目を閉じて聞いていた。

 これからの政局の主軸は、衆議院の社会保障・税特別委員会の自民党増税派の動きである。彼らのシナリオは、自民党から財務省が作成した修正案を六月中旬に提出して、消費税増税関連法案の採決を、野党から要求する。その狙いは野田首相を助けることではなく、民主党を潰すことにある。野田首相はそれをわかったうえで採決していくだろう。そして、参議院での審議時間確保のために約1ヶ月の会期延長を強行して、消費税増税法案を成立させ、衆議院を解散する。

 このシナリオが政局の中心となると思うが、彼らの思惑通りにはならないだろう。まず自民党内でこのシナリオが了承されるかどうか保証はない。自民党内の消費税増税慎重派が急増している。民主党を潰すために、消費税増税に賛成する自民党増税派に野田首相が乗っても、民主党を分裂させないことに生命を懸けた輿石幹事長が簡単に応じるとは思えない。要するに政局は、消費税増税をめぐり自民党も民主党も、想像を超えた「グチャ、グチャ」になる、という私の説明に、小沢さんは、「日本の政局がグチャグチャになっても、世界の混乱は待ってくれない。日本に良質で信頼される安定した政治をつくらないと、世界がおかしくなる。そのために私心を棄てて臨む」と力強く語った。民主党を改革して原点に戻すのか、新しい結集を目指すのか、全ては状況次第だ。小沢さんの眼線は、日本の安定を通じて世界人類の福寿を志向しているのだ。各国で起こっている財政悪化の根本原因は悪質なマネーゲーム資本主義にある。これを是正しない限り、いくら消費税増税しても問題の解決にはならない。

 「これまでの政治弾圧、政治捜査、政治裁判など、さんざん苦難があったが、これからの道を開くため、天からの宿命だったんですなぁ」と私が言うと、小沢さんはニコッと笑ってうなづいた。

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