「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―113

日本一新の会・代表 平野貞夫妙観

 

○消費税・原発放射能問題は世界的テーマだ!


 6月9日(土)、小沢一郎氏は宇都宮市で「消費税、原発放射能の問題が国民的、世界的なテーマだ。文明のもたらした結果も国民生活のためでなければならない」と述べた。

 この小沢氏の見識を、どれだけの国会議員が理解しているのか、これが問題である。消費税と原発放射能問題を、世界的なテーマであり、文明の課題と論じるところに、小沢氏の凄さがある。消費税と原発放射能は関係ない問題と主張する人たちも多くいる。この問題に共通する本質を理解できない政治家や有識者が闊步していることが、今日のわが国の劣化の原因といえる。

 「消費税と原発放射能問題」の本質に共通する課題は、国民の生活の危機に関わることであり、さらに進めていえば「人間の生命」に関わることである。こういう捉え方をしなくては、問題の本質的解決にならない。「20世紀の崩壊した資本主義をどのように改革して、「21世紀の人間のための健全な資本主義」を、どう創造するかということになる。

 まさに小沢氏が指摘するように、20世紀型資本主義社会の税制を代表する「消費税」と、20世紀文明を象徴する「原発放射能」は、世界人類のテーマであり、文明のあり方の問題である。それは20世紀を謳歌した資本主義によって、「人間の生命」まで犠牲にして創り上げた技術やシステムが21世紀で行きづまり、人類はどうすれば生存できるか、天命が日本人に突きつけた宿題であるともいえる。

 乱暴な言い方をするなら、消費税増税に拘り、福島原発放射能被災対策を混乱させて、大飯原発先稼働を無責任に推進しようとする政治家や有識者を検証すると、20世紀型資本主義の既得権で生きている人たちである。20世紀に形成された価値観、すなわち所有・存在欲求の排他的競争を容認する思想が、資本主義を発展させると同時に崩壊させたのである。消費税・原発放射能問題を、こういう歴史観で考えると本質がよく見えてくる。

 

(消費税増税推進論者は基礎知識に不勉強)

     消費税増税の前に国の仕組みを改革すべし。

 これは小沢氏の一貫した主張である。この意味を理解する国会議員は少ない。国民の方が本能的かつ具体的に理解している。租税の歴史を見ると、地租(土地税)が国税の中心であった時代には、地主の政治的影響が強かった。日本でも明治から大正時代、地主層の利益を代表する衆議院議員が多かった。資本主義の発展とともに、国税の中心は所得税となる。資本家・経営者の政策要求が、政治の主役となる。そして労働者階級の進出とともに、労働者の諸要求が政治の中心に入っていく。国税の中心が「何か」によって、国や政治の仕組みが変化していくのが歴史の真相であった。

 さて、消費税が10%となると年間約25兆円を超える。国税収入の半分を超え、状況によっては3分の2となる。まさに国税収入の中核税制となる。しかも、生活必需品を特別扱いしない一律税制では、一般国民の消費税負担額と負担率は圧倒的に高くなる。大企業には消費税還付と転移で負担が軽くなる制度が温存されている。零細・中小企業は最悪となろう。消費税増税に必要な「国民の生活が第一」の政治の仕組みが整備されず、国民に嘘をつく政治が続くならこの国に将来はない。小沢氏のいう「消費税増税の前に国の仕組みを変えなければならない」とはこのことだ。

 

     増税には正論と歴史的必然性がいる。

 私の人生の師、元衆議院議長で敗戦当時の大蔵省主税局長であった前尾繁三郎先生は、占領軍が強制する「割当課税」(現在の消費税増税と実質的に類似)に反対し、「あまりにも国民を欺き弄ぶものであって、税務の威信は一朝にして崩れてしまい、悔いを長く残すことになる。やるなら私の首を切ってからにしてくれ」と開き直った。前尾先生は衆議院議長時代、秘書を務めた私にこう語っていた。「政権はいかなる時でも〝増税しない〟と公言してはならない。国家の非常事態はいつ発生するかわからない。しかし、増税、ことに大きく国民に負担を求める時には、正義にもとづく理屈がなければ、国を滅ぼす」と。

 野田「消費税増税10%」に、「正義にもとづく理屈」があるか検証してみよう。

(イ)議会政治論として、野田政権の「消費税増税10%」が、政権交代の総選挙で国民を欺き弄んだものであり、財務省のマインドコントロールによることについて、説明は不要である。問題はそこまでする必要があったのか。

(ロ)財政再建の姿勢で、消費税増税を国際的に示さないと国債が暴落してさらなる財政悪化に襲われると国民を脅した。これが嘘であり、むしろ金融資本の謀略を野田政権が利用したといえる。わが国を含む先進諸国の財政悪化の根本原因は、デリバティブなど実体のない行き過ぎたマネーゲーム資本主義を放置していることにある。この規制を先行させるべきだ。  

(ハ)社会保障と一体化の税制改革は時代遅れだ。

 民主党だけではなく、自民党や各党の議論を聞くに、1980年代の資本主義の政治・政策思想から抜けきれていない。20世紀の資本主義を持続するため、社会保障を補完政策として活用した。21世紀の資本主義は、その思想では持続できなくなっていることに気がついていないのだ。自民党は「自助・共助・公助」が社会保障の基本だと、100年前につくった理念をいまだに公言している。

 21世紀では、資本主義といえるかどうかわからない国家社会になる。社会保障を補完政策として位置づけるだけでは持続できない情況になっているのだ。基礎的社会保障を国家社会が担保しなければ、国家は維持できなくなった。となると、過去の「社会保障」という概念に当てはまらないことになる。そういう次元で政策論議をすべきだ。「国民の生活が第一」という発想はここにある。その意味で、税制改革は社会保障だけでなく、教育・環境・統治機構と機能など総合的に議論して、国民の負担のあり方を合意すべきだ。

(ニ)消費税増税の内容と時期が最悪の事態だ。

 消費税増税法案などの内容については、臨時号でお届けした戸田顧問の指摘の通り、「あまりにも未成熟な法案」であり、論評はそちらに譲る。

 中でも、高く評価したのは、「ヨーロッパや北欧などの多数の国で採用されているゼロ税率や軽減税率は、低所得者に対する逆進性対策として考えられたものではない。そもそも、人間が生きていくために最低必要なものには課税しないという考えが出発点となっている」という見識である。

 この見識を参考にして、消費税増税10%を法案どおり実施した場合、日本で何が起きるか。結論から言おう。日本人の約4分の1に当たる「3千万人」の人々が、生活苦に追い込まれるだろう。根拠は生活保護者と年収200万円以下の世帯が約1500万、消費税増税で倒産・経営困難に陥る零細業者や中小企業などで生活する人々が約500万、これらの家族を入れると約3千万人という数字が推定できる。消費税増税10%で「人間が生きる方策」が裁ち切られる。自殺や孤独死がさらに急増し、想定できない悪質な犯罪と大混乱の日本社会となることが眼に見えている。

 野田首相が国際公約した「増税で財政再建」は、さらに悪化し国税収入減は想像を絶するものになるだろう。この時期、この内容と思想で「消費税増税」を強行することに、何らの正義も大義も合理的理論も存在しない。残るのは「オーム真理教のアサハラ」ならぬ、「財務増税教のフジイ・カツ」のマインドコントロールを受けた亡国政治家・野田首相だ。小沢一郎氏の「増税の前にやるべきことがある」という叫びが耳に入らなくなっている。

 

(国民の「生活」ならぬ「生命」が危ない野田政治)

 6月8日(金)、野田首相は記者会見で関西電力「大飯原発」の再稼働を、「国民の生活を守るため」として政治判断した。「財界を守るため」の本音を「国民の生活」と嘘をつくことが、野田首相の政治信条のようだ。安全対策の基準を先送りし、安全設備も不十分のままの、なし崩しの再稼働である。何より、福島原発事故の緊急対応も放置したままで、再び事故が起きない規制法も未成立のままだ。原発の安全性を国民が納得し、信用させることが再稼働の前提である。

 福島原発事故の放射能被害は、帰郷できない人をどん底に落としたまま放置し、まともな被災対策なんか行われていない。除染という名目で、税金をつかって新しく危険な放射能廃棄物を増産しているのが実態だ。私たちのグループが研究している「放射能低減化の研究」に対して、政府原子力機関の幹部は「放射能が消えると困る!」と言い放った。

 野田政権は20世紀にできた原発資本主義を改革する気はまったくない。20世紀資本主義のシンボル、安全性を確保しない原発の存在を前提として、放射能から「生命」を守る保障のない政治は人類の敵だ。野田首相は、日本人の「生命」を犠牲にしてまで、「消費税増税」と「原発再稼働」を断行しようとしていることを知るべきである。

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