「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

1、人づくり基本法案

 我が国においては、日本国憲法に基づき、半世紀余りにわたり、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成が進められてきた。
一方、世界の政治及び経済の歴史的な変動並びに国内経済の成熟化等我が国の社会経済情勢の急速な変化に伴い、自由で公正な開かれた社会の構築を目指してあらゆる仕組みが変革を迫られており、それを担い得る人間の育成が、今日の我が国における最重要課題となっている。
我々は、地球の平和と環境及び国際社会の発展に貢献することを目指しつつ、新しい日本の確立に向け、自主自立の精神と創造性に富み、自ら自分の人生を切り開き、かつ、我が国及び国際社会に自ら役立とうとする人間を育成するために、あらゆる機会に、あらゆる場所において人づくりに取り組む決意をしなければならない。
ここに、新しい日本人を育成する基本理念を明示し、将来に向かって社会全体が協力して人づくりを総合的に推進していくため、この法律を制定する。

(目的)
第一条 この法律は、自由で公正な開かれた社会の構築のための人づくりの緊要性にかんがみ、人づくりの基本的な理念及び方針を明らかにするとともに、教育及び教育行政に関する基本となる事項等を定めることにより、健やかで豊かな人間性を備えた創造性に富む人づくりを推進し、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現を図り、地球の平和と環境及び国際社会の発展に貢献することを目的とする。

(基本理念)
第二条 人づくりは、学校、家庭、地域社会その他の様々な場における教育を通じて、我が国の歴史と伝統文化を踏まえつつ、自由で公正な開かれた社会の担い手として、人間の尊厳を尊び、勤労と責任を重んじ、日本と地域社会に誇りを持ち、及び自主自立の精神に充ちた健やかな国民の育成を期して行われなければならない。

(基本方針)
第三条 人づくりは、前条に定める基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に従い、総合的かつ効果的に行われなければならない。

一 学校教育、家庭教育及び社会教育の適切な連携及び相互の補完により、それぞれの
   教育の機能を高めて行うこと。
二 自由で公正な開かれた社会を生きるための基礎的な素養を修得させること。
三 国政及び地方自治に参画する良識ある国民として必要な政治的教養を尊重すること。
四 宗教の社会生活における役割を尊重すること。
五 修学困難な者に対する奨学に努めること。
六 人づくりに関する国民の自発的な取組を尊重すること。
七 国民が次代における人づくりの担い手となることに配慮すること。

(学校教育)
第四条 学校教育は、国民に対し、その発達段階及び個性に応じた学習の機会を提供しなければならない。

2 学校教育は、我が国の歴史と伝統文化を踏まえつつ、国際社会の変動、科学技術の
  進展その他の社会経済情勢の変化に的確に対応することに努めなければならない。
3 学校教育においては、学校の自主性及び自立性が十分に発揮されなければならない。
4 学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的
  活動をしてはならない。
5 学校は、公の性質を有するものであり、その教員は、全体の奉仕者であって、自己の
  崇高な使命を自覚し、その職責の十全な遂行に努めなければならない。
6 学校の教員は、その身分が尊重され、その待遇が適正に保障されなければならない。

(義務教育)
第五条 義務教育は、学校教育の中核として、すべての国民に共通して必要とされる基礎的な学力の維持向上、心身の調和的発達、文化的素養の醸成、畏敬の精神の涵養、国際協調の精神の養成及び自主自立の精神の体得を旨とし、最終的に国の責任において行われなければならない。

2 国は、義務教育に関し、地方公共団体の行う自主的かつ主体的な施策に配慮しな
  ければならない。
3 地方公共団体は、義務教育に関し、国との適切な役割分担を踏まえつつ、その地域の
  特性に応じた施策を講ずるものとする。
4 地方公共団体又は国が設置する学校において義務教育に従事する教員は、全国的な
  見地から人材が確保されるよう、国家公務員の身分を有するものとする。

(高等教育)
第六条 高等教育は、我が国の学術研究の分野において、その水準の向上及びその多様化を図るとともに、創造性に富む研究者及び技術者を育成することを旨として行われるものとする。

2 大学等は、社会に開かれたものとなるよう、職業人としての資質の向上に資するための
  社会人の受入れの拡大、地域及び産業の活性化に資する人材の養成を目指した地域
  社会及び産業界との連携等を図るものとする。

(家庭教育)
第七条 家庭教育は、すべての教育の原点であり、基本的な生活習慣、倫理観、自制心、自立心等の国民の基礎的な資質の形成に積極的な役割を果たすものとする。

2 家庭教育を行う父母その他の保護者を社会全体で支えるため、それらの者に対する
  支援が積極的に行われなければならない。

(社会教育)
第八条 社会教育は、勤労の場所その他社会において多様な学習の機会の充実が図られ、国民が生涯を通じて学習できるよう、あらゆる機会に、あらゆる場所において行われなければならない。

2 社会教育の充実は、高齢化、国際化等の社会の変化に的確に対応する観点から、
  豊富な経験を有する人材の活用及び専門的知識を有する指導者の育成を図る
  ことにより行われるものとする。

(地域における人づくり)
第九条 地域における人づくりは、社会の一員としての規範意識の向上、地域の伝統文化の継承及び地域社会における有為な人材の育成の観点から、学校、家庭及び地域社会が緊密に連携して行われなければならない。

2 地域における人づくりにおいては、学校はそのための体験活動等の機会を提供する
  ものとし、家庭及び地域社会はこれに積極的に参加するよう努めるものとする。

(教育行政)
第十条 教育行政は、民主的な運営を旨として行われなければならない。

2 地方公共団体が行う教育行政は、その施策に民意を反映させるものとし、その長が
  行わなければならない。
3 地方公共団体は、教育委員会を廃止するものとし、教育行政の向上に資するよう、
  教育行政に関する評価及び勧告を行うための民主的な組織を整備するものとする。

(法制上の措置)
第十一条 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。


附則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)は、廃止する。


理由
自由で公正な開かれた社会の構築のための人づくりの緊要性にかんがみ、健やかで豊かな人間性を備えた創造性に富む人づくりを推進し、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現を図り、地球の平和と環境及び国際社会の発展に貢献するため、人づくりの基本的な理念及び方針を明らかにするとともに、教育及び教育行政に関する基本となる事項等を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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   代    表 : 平野 貞夫
   顧    問 : 戸田 邦司
   事 務 局 : 大島 楯臣

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