「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

◎「日本一新運動」の原点・番外編―2

                                        日本一新の会事務局


 番外編―1号では、昭和63年(1988)当時、平野代表は衆議院事務局員として、戦後政治をどのように総括していたかを紹介した。そこから読み取れるのは、一貫した「議会主義者」であることだ。本号で紹介する憲法論議は「議会としてかくあるべし論」であり、情緒的改憲論とはまったく異質である、というのが事務局の理解である。
 この討論は、153号・憲法問題その1に書かれている「あんまり年寄りをいじめるな」と小沢さんから注意を受けた要因となったものであり、宮澤大蔵大臣、野中広務官房長官とのやりとりは次号に出てくる。

平成11年4月6日・参議院決算員会

〇平野貞夫君 決算の全般的質疑の中でございますが、憲法問題、わけても憲法改正の手続き制度の整備につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、法制局長官に集中的に御答弁をお願いしたいと思いますが、まず憲法改正の手続の第96条を読んでみます。
 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
 こういう規定でございますが、長官、この規定は改正の手続を規定したものでございますが、同時に、国民に提案してその承認を経るという、いわば国民の憲法制定権という国民主権の根本の規定といいますか、根源をなすものだというふうに理解してよろしいか、ちょっとお教えいただきたいと思います。

〇大森政輔内閣法制局長官 憲法の制定自体とその制定された憲法の規定に基づく改正行為との間には、国民主権との直接性では若干距離があるのではないかとは思われますけれども、基本的には委員御指摘のとおりでございまして、ただいま御指摘になりました憲法96条自体におきまして、全国民を代表する者で構成される議院がまず賛成をしてそして国会がこれを発議する、そして主権者である国民に提案してその承認を得る、こういう規定をしているわけでございますから、主権が国民に存することを宣言した憲法前文などの規定とともに憲法における国民主権の原理を体現したものであるという点においては、おっしゃるとおりであると考えます。

〇平野貞夫君 わかりました。
 次に確認したいことは、現実の憲法の改正がこの規定だけで可能かどうか。すなわち、この規定は直接法律をつくれということは書いていませんが、例えば国会で発議される場合あるいは審議される場合、それぞれ今の国会法のままでは無理があると思いますし、国会法の整備を必要とすると思います。あるいは国民投票という制度は明らかにこれは権利義務関係にかかわると思いますが、この辺について、国民投票法とかあるいは国会法の改正がどうしても要るものではないかと思うんですが、この点についての御所見を伺いたいと思います。

〇大森政輔君 御指摘のとおりであると考えます。すなわち、例えば国民投票の投票日をどうするとか、投票権者の範囲をどう定めるとか、あるいは投票方法をどう定めるとか、このような国民投票の詳細につきましては憲法は規定していないわけでございますが、現実の運用としてはどうしても不可欠の事柄でございますので、法律でこれを定める必要がある、現行法制だけでは動かないという点は御指摘のとおりでございます。


〇平野貞夫君 非常に明快なお答えでございまして、よくわかります。といたしますと、国民投票法とか国会法の整備というものは、いわば憲法体系の一環あるいは憲法と一体のものだ、この規定と一体のものだというふうに理解いたします。
 さて、憲法改正にかかわる国民投票法あるいは憲法改正の審議にかかわる国会法というものが整備されていません。憲法が制定されまして半世紀以上たちます。間もなく53年になると思いますが、本来なら、これは制定と同時あるいは制定直後速やかに整備されるべきものだと思います。諸外国で、憲法を定めて改正の手続を必要とする法律の整備を半世紀も放置しているケースは私の調べたところではありません。
 そこで、長官にもう一つお聞きしたいのは、この実態は憲法体系の不備というふうに認識していいのか、あるいはいろんな政治情勢がありましたから仕方がないことというふうに思うべきか、このまま放置していいのか、整備すべきものなのか、そこら辺について法制局としての御意見を承りたいと思います。

〇大森政輔君 ただいまのお答えでどういう言葉を使うのが適切か、ちょっと戸惑うわけでございますけれども、現在なぜ国民投票その他、憲法改正手続法が整備されてこなかったかということの理由を考えてみますと、内閣としては、国の基本法である憲法改正の具体的内容についての国民の合意が形成されてはいないというふうに今まで考えてきた、今も考えているはずでございます。
 したがいまして、現段階で憲法を改正するという考え、正確に申しますと、内閣の立場からは国会に対して改正の原案を提出する、議案を提出するという、正確にはそういうことでございますけれども、そういう考えは持っていないということは、その時々の総理が本会議その他の答弁で申し上げてきたとおりでございます。こういうことから、憲法改正が具体的な政治日程にのせられるには至らなかったということがあったと思います。
 したがいまして、現段階ですぐに整備するかどうかということにつきましては、憲法改正に関する国会での御議論、これはどうも伺うところによりますと、まさにそれが行われようとしているやに漏れ聞いておりますので、その御議論を踏まえて検討されるべき問題であろうというふうに考えております。
 

〇平野貞夫君 私は、この問題を政治的あるいはイデオロギー的に取り上げようとしているわけではございませんでして、憲法を改正しようという国民の機運があるとかないとかということじゃなくて、憲法そのものの体系の整備として当然必要なものではないか、あるいは学者の先生方の本には、国民の憲法制定権の整備として国民投票法なり国会法の改正が必要じゃないかと論理的に取り上げているわけでございますが、ちょっとそこら辺、私は、憲法改正の動向とこの問題をくっつけて考えたくないという意見を持っております。
 そこで、50年以上、半世紀以上この問題が放置されていたことは、憲法改正の機運がないということじゃなくて、日本の法体系、国家統治機構のシステムの欠陥だと思いますし、その責任は政治にあると思います。法制局にあるとは思いません、政治にあると思いますが、こんな50年以上も放置してきたということは、もちろん国民全体の問題もありますが、まず99条の憲法を尊重擁護する義務に反しているのじゃないかと思うんですが、その点はどうでございましょうか。

〇大森政輔君 99条の憲法尊重擁護義務に反するのではないかと、こう言われると非常につらいわけでございますけれども、先ほど申しましたように、現在、憲法改正手続に関する法制が整備されてこなかったのは、先ほど申しましたようなやはり憲法をめぐる政治情勢というものがあったことは、これはもう事実であろうと思うわけでございます。
 したがいまして、現在その法制をどうするかということにつきましては、やはり憲法改正に関する、今まさになされようとしている国会の御議論を踏まえて検討すべき問題であると考えておりまして、いまだその整備がなされていないからといって、今までの経緯を踏まえますと、それが憲法99条の憲法尊重擁護義務に反するものであるということには当たらないんではなかろうかと思うわけでございます。

                        次号に続く

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