「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

◎「日本一新運動」の原点・番外編―3

日本一新の会事務局

 

 この討論は、番外編―2の続きであり、宮澤大蔵大臣、野中広務官房長官とのやりとりが肝である。憲法と向き合って半世紀、参議院議員を引いて後の「日本一新運動」の提唱者である平野代表の思いが伝わる質疑応答でもある。

 

○平野貞夫君 長官、私は論理として議論したいんですが、憲法改正の気運が盛り上がる、そういうことがいろいろ議論される中で手続の整備をすればいいというのは、ちょっと私は政治的意見が入り過ぎていると思っています。私はそこを切断して、論理で答えてくれということでございます。

 それから、憲法を尊重しろということは憲法の目的の実現に努力する義務もありますし、憲法の実施を確保するために努力する義務もあると思います。そういう意味では、率直に言いまして、私は大変な欠陥をそのまま日本国家というのは放置しているものだという問題意識を持っているわけであります。

 そこで、過去、法制局として憲法改正手続の整備について、これは制定されてからで結構でございますが、内閣とか総理大臣に何か意見を申したことがありましょうか。昭和27年から8年にかけて吉田内閣のときにこの整備の準備をしたということは私も承知しておりますが。

 

○大森政輔君 文献資料によりますと、昭和27年ころに自治省におきましてそういう憲法改正国民投票法案の草案的なものが立案されたというような文献がございます。しかし、それが国会に提出されなかったことは事実のようでございます。

 また、これも文献で恐縮でございますけれども、その前提として選挙制度調査会の答申が内閣に対してなされたということもあったようでございます。しかし、それを踏まえまして内閣法制局において現実に国会への提出を踏まえて正式の審査をしたということは記録には残っておりません。もう随分前のことですから、記録に残っていないということで御容赦いただきたいと思います。

 

○平野貞夫君 内閣法制局設置法3条第3号には、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること。」という規定がございます。私は、この規定は、聞かれなくとも、憲法との矛盾とか憲法の欠陥とかあるいは法律の解釈、調整等について、内閣法制局というのは意見を積極的に述べるという規定だと思います。

 そういう点からいいますと、憲法の欠陥について50年も黙視していた、政治の厳しいところはあったと思いますが、その点については私も内閣法制局にはそれでよかったのかなということを言いたいんです。これは答弁は要りません、時間があと6分しかございませんから。

 そこで、野中官房長官にお尋ねいたします。

 端的に申し上げまして、これからは政治論になります。昭和20年代の終わりごろ、極端な再軍備論がありました。それが結局憲法改正の整備をさせなくしたと思います。そして、その後占領体制の後遺症がなかなか抜けなくて、また教条的な護憲論もあって、私はこの半世紀以上憲法の欠陥の部分は封印をされたままになっているのが実態じゃないかと思います。これをそのまま放置しておけば、私は大変な問題、すなわち国民が憲法を制定するという権利が行使できないままになる、こういう重大な問題だと思います。これはある意味では戦後問題の最大の問題だと思っております。

 野中長官はしばしば、戦後問題は今世紀中に処理したいということをおっしゃっておるんですが、大変大事なことだと思うんです。この憲法改正の手続の整備、すなわち国民の憲法制定権が行使、発動できる制度をつくることこそ一番大事な対処法じゃないかと思うんですが、そのための調査なり検討なりを関係方面に御指示する御意向はございましょうかどうか。

 

○野中広務官房長官 憲法改正につきまして、法整備のあり方につきまして、今、平野委員から切断した論理というものをお伺いし、また改正と法整備のあり方というものをお伺いいたしました。

 ただいま大森内閣法制局長官からもお答えをいたしたわけでございますけれども、現在、内閣といたしましては、国の基本法でございます憲法の改正の具体的な内容につきましての国民の合意が形成されているとは考えておらないところでございます。そういう現在の段階におきまして、憲法を改正するという考えは持っておらないところでございます。これは平野委員もよく御承知の上で法整備の話をしていらっしゃるわけでございます。

 また、過去におきましても、法制局長官から申し上げましたように、基本的にこうした認識のもとに、内閣において憲法改正を政治日程にのせることはしてこなかったものと私は承知をいたしております。

 御指摘の法整備につきましては、憲法改正に関する国会での御議論なども踏まえて検討をされるべき問題であると考えております。いまだその整備がなされていないということをもちまして、99条の憲法尊重義務との関係でむしろ問題があるのではなかろうかと思うわけでございます。

 国会等におきましても、憲法はそれぞれ各条項に基づきまして自由に検討され、そしてそういう中において国会の御議論の集約や国民の合意が得られていくものではなかろうかと思っておるわけでございます。

 

○平野貞夫君 ことしから与党になっておりますので、これ以上お尋ねはしません。

 最後に、宮澤大蔵大臣、総理経験者として御感想をお聞かせいただきたいんですが、最近の世論調査ではいわゆる平和原理あるいは基本的人権、そういう国民主権の基本原理を発展させて生かすという前提の上での憲法の見直し論はもうほとんど50%以上になっておるんです。そういう状況の中で、やはりこの際、早い機会に、今世紀中にこういったものは整備しておかなきゃならないというふうに私は考えておるんですが、ちょっと御感想をお聞かせいただきたい。

 

○宮澤喜一大蔵大臣 前段の法制局長官との質疑応答でございましたが、確かに平野委員の言われますことは、日本国憲法の法体系としてこの96条に基づく所要の法はつくっておくべきであった、本来そういうものであろう、私はそういう御議論、純粋にはそうかもしれぬと思っております。

 実は、憲法がつくられまして50年でございます。大体私は法を知っておるつもりですが、その50年のいかなる段階においても、きょうはなおさらそうでございますが、この96条の法整備をしようと、国民投票とか国会法とかということを提案いたせば、恐らくこれは必ず憲法改正をするしないという議論に今となってはつながらざるを得ないだろう。お互いに法律を冷たく考える立場からいえばそんな理屈はないわけですけれども、今までないものを何でここで整備するのかねということは、やっぱりやる気があるんだろう、そうでなきゃ要らないじゃないかという議論を恐らく呼び起こすことは多分間違いない。余り合理的なことでないと思いますが、私は政治論をすればよろしいわけですから、そういうことになるだろう。そうすると、その法律そのものが通るか通らないかという問題になりかねないのではないか、実は法律的には関係のない話であるかもしれませんが、そういう心配を私は持ちます。

 それから、後段におっしゃいましたことは、確かにそういうふうに最近微妙な変化があると思います。あると思いますが、しかし、そういうことで改正を議論することになりますと、必ずそれに合わせて九条の問題が出てくる。これはどうも不可避である。としますと、実態はいろんなところを変えたいことは確かにあるんだが、しかし、九条をそこから除外するということができませんので、現実の議論としては。その憲法改正の論議というのが再び大変なことになるのではないだろうか。

 今ここのところは静かになっておるといいますか、かつてのようなことではない。国民が感じられていることはほかの、公害だとかいろんなことにあるんですけれども、しかし、憲法改正が一度議論になれば九条というものにさわらないで通るということはできないのではないか、私はそういう感じを持っております。

 

○平野貞夫君 一言お願いします。貴重な時間、恐縮でした。

 私は、この憲法の欠陥をそのまま放置しておることが今日の日本国家の衰退の原因だと思っております。ですから、極めて深刻な問題だと思っております。

 それだけ申し上げて、終わらせていただきます。
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