「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―184

                                日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

(哲学者・柄谷行人の縄文イソノミヤ論)

 10月18日(金)、国際縄文学協会の『縄文未来塾』は哲学者柄谷行人氏を招き、名著『哲学の起源』で評価された「イソノミヤ(無支配)」思想について講演してもらった。日本一新の会からは40名を超える会員が参加していただき、盛会に終わることができた。

 国際縄文学協会はNPO団体で、会長・半田晴久、副会長・ニコル・クージ・ルマニエル、代表理事・西垣内堅佑、理事にサイモン・ケイナー(イーストアングリア大学の日本センター長)、関俊彦(東京都大森貝塚保存会会長)、土肥孝(東洋大学大学院講師)などで、私も理事の末席で活動させてもらっている。

 柄谷氏の話は、『哲学の起源』を執筆した理由を、平成22年に刊行した『世界史の構造』の補完だと説明した。私にとっては、補完どころか新しい世界史を創造する思想を提起したものと理解した。驚いたことに、柄谷氏はギリシャの話を飛び出し、わが国で民俗学を確立した柳田国男論を主題として話し始めた。柳田が論じた「山人や漂白民」が、縄文イソノミヤ思想に通じるものがあるとのことだった。

 柄谷氏は、月刊誌『文学界』で「評論 遊動論―山人と柳田国男」を連載中である。山人とは縄文人と同義語である。まさにわが国の縄文時代に、イソノミヤ思想が存在していたことを、柳田国男論で展開しているわけだ。そして柄谷氏は柳田国男の『先祖の話』から、柳田の「祖霊観」を採り上げた。縄文時代の先祖信仰は、祖先の霊を血族や功績など差別せず、すべてを平等に祀っていたことを紹介した。祖霊をどう祀るかということは、現世の利害関係を反映させるもので、それぞれの時代の人間社会の状況を読みとることができる。柳田は縄文人が平等にそれを祀る文化を評価した。その社会では祖霊祀と同様に平等な人間の生活があったのである。柄谷氏は、それを「自由かつ平等」のイソノミヤ社会として、縄文時代の見直しを指摘した。そして、縄文イソノミヤ思想は、古代のギリシャや日本だけでなく、地球全体にあったと結んだ。

 縄文学を研究している人たちにとっては大変な問題を提起されたわけだ。石器や土器や遺跡を見て回るだけでは済まなくなった。

 死者の祀り方から現世の人間関係を解析する方法論は、考古学では想定外のことである。日本一新の会としても、大変な刺激を受けた。

 衆議院事務局に勤めていた私は、日本の国会のあり方を、どう考えても民主主義とは思えなかった。これが民主主義なら民主主義は間違っていると・・・。そしていつしか、縄文時代には真の人間の平等があったのではと思うようになった。参議院議員になると、「我々の政治改革は、縄文革命だ」と、小沢さんと共に語ったものだ。柄谷氏のおかげで、縄文革命の戦略を着想することができた。「自由であるが故に平等である」社会づくりだ。


(首都圏在住の日本一新の会会員懇親会)

 柄谷氏の講演会終了後、首都圏の各地から、さらに群馬・大阪・広島から参加していただいた会員の方々に、懇親会のみ参加の会員を合わせ40名弱で、新橋の居酒屋・十米(ジュウベイ)で懇親会を開いた。午後九時前という遅い時間から始まったが、陸山会問題や衆参の選挙で顔見知りの人もいて盛会だった。驚いたのは、初めてお目にかかる会員が多く、限られた時間ではあったが、最近の政治や経済に厳しい議論をぶつけられた。

 この議論の中で勉強になったのは「政党の役割を検証すべし」とか「野党再結集は民主党指導層の反省がなければ不可能だ」とか、「消費税増税後の国民生活の混乱を、有権者は深刻に考えるべきだ」などであった。

 これまではネットという世界だった「日本一新運動」を、市民の中で生かそうとの共通認識が生まれ始めた。これから、地域ごとの仲間で党派を超えた交流の場をつくろうとのことで、私もそれらの会合に参加することを楽しみにしている。


(松本市での地域交流会)

 10月19日(土)には、事務局と同道して長野県松本市に出かけた。信州大学法科大学院の又坂教授や、須坂市選出の永井県議らの呼びかけで、十数名による地域交流会「信州 法と政策を考える会」の発足である。参加者の中には日本一新の会の会員ではない人もいたが、約1時間半の議論と、その後の懇親会では放談会となり盛会であった。

 交流会では、最初に挨拶を兼ねて私と長野県との因縁話をした。法政大学の政治学修士課程を終えて就職のとき、衆議院事務局か、長野県飯田市に設立したばかりの女子短大講師か、何れかの選択となり、前者を選んだ。その後、参議院議員となって平成5年の細川連立政権樹立の頃、朝日新聞の『一冊の本』の対談で「女子短大に行ってくれれば、日本がこれほど混乱しないで済んだかもしれない」と、早野透編集委員から冷やかされた思い出話などをした。

 事務局から日本一新の会についての説明があった後、出席者の自己紹介を兼ねて、自由闊達な意見が述べられた。実に多彩な人々の話が聞けて勉強になった。固有名詞を紹介するとご迷惑になるかもしれないので避けるが、大学講師・県議会議員と後援会長・企業経営者・自治体の文化事業団役員・市民運動家・新聞記者などであった。

 話題の中心は「政権交代した民主党は、何故崩壊状況となったか」であった。発言した県議は「何故、民主党は最大の功労者である小沢さんを護らなかったか。それができないようでは、政権を続けることなんかできるはずはない」と、民主党が小沢さんを検察権力から護らなかったことが、民主党衰退の原因だと私に迫ってきた。

 私は小沢西松・陸山会問題は、麻生自民党政権が、政権交代を阻止するため検察に捏造させたことは傍証されている。西松事件は頓挫し、陸山会事件は不起訴となり失敗した。麻生政権のやったことは開発途上国ではよくある不条理な政治であるが、権力闘争としてはよくあることで、日本の政治腐敗を甘くみていたことでは、私たちにも反省すべきことがある。

 問題の真相は、政権獲得した民主党政権の中に「小沢排除」を司法権を利用して行ったことにある。検察官に調査資料を捏造させたような、検察審査会で行われた不正事は、最高裁事務総局が関わっていたという疑念さえある。さらなる異常性は、マス・メディアが正義と事実を無視して「小沢排除」に血道を上げたことだ。某新聞社の某編集委員は、菅首相に「小沢を排除すれば世論調査の支持が上昇する」と進言したといわれている。このメディア・ファシズムで国民の多くは「小沢は悪い政治家」との情報を擦り込まれ、さらに民主党の国会議員の多くが、それを信じることに根本原因がある、と説明。人間のあり方と政治の本質に無知・無関心な政治家が多すぎる。政治改革とか、国会改革という前に「民主主義とは何か」を、国民的に勉強しないと大変になると述べておいた。

 もうひとつの課題は、アベノミクスや消費税増税など、経済や暮らしの問題であった。企業経営者は、地域の経済活性化に苦労を続けているとのこと。アベノミクスの先行きを質問されたので、「政府や応援団のメディアは何かにつけ成功というだろうが、経済統計などは権力に有利なように捏造できるのでどうにでもなる。あれだけ金融を緩和しているので、多少の景気感があるのは当たり前だ。消費税増税の影響が現れる来年初夏には、国民生活の悲劇が始まるだろう。その頃、野党結集ができるかどうか。アベノミクスの後始末は、今の米国を見ればわかるだろう。国家の債務超過で、大混乱となること必至。一日も早く是正すべし」と述べておいた。

 懇親会は鍋を囲み、少しアルコールが入ったところで政界の裏話をして、所用もあり私だけ早めに中座した。午後7時21分の「あずさ号」で新宿に向かったところ、甲府を過ぎたあたりの山の中で、鹿が列車にぶつかったとのこと。 列車の点検などで小1時間遅れ、日付を跨いで帰宅した。

「鹿が列車にぶつかった」という珍事が気になって、松本での言動をふりかえると、懇親会で、美味しい馬刺しをたらふく食べたので「馬鹿」なことに出会ったと一人で可笑しくなった。
 しかし、ぶつかったのが鹿でことなきを得た。もし万が一、タヌキであったなら、事務局がなにを言い募るか危ないものである。まことに充実した松本行きであった。         

                                                (了)

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