「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―189

                                日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

〇「国会の自殺」・葬儀が始まった!

「特定秘密保護法案」が11月26日(火)、衆議院の国家安全特別委員会で強行採決され、引き続き本会議に緊急上程、修正議決して参議院に送付された。12月6日の会期終了日まで9日間で参議院がどんな審議をするのか。与党は成立を目指すが、仮に成立すれば「国会の自殺」となる。そして「国会・議会民主政治の葬式」が始まることになる。

 この法案の成立を推進した衆参両議院の国会議員には、国民から強い不支持の運動が起こると思われる。参議院の審議がどう展開するかわからないが、反対する野党の国会議員が、問題の本質を理解していないことが致命的である。
 それにしても、有識者・マスコミのコメンテーターたちも遅れながら反対運動を始めたものの、「特定秘密保護法案」の本質を十分に国民に指摘していない。そのためか反対運動がもどかしく展開している。私の体験談を整理しておくので参考とされたい。

(「まともな保守派」は反対である!)

 11月21日(木)夕刻、「月刊日本」創刊200号記念パーティーが半蔵門で開かれた。大勢の保守論客が顔を見せ、「月刊日本」を激励した。そのなかではほとんどの発言者が「特定秘密保護法案」について厳しく反対の意見を述べた。代表的意見の要点を紹介しておく。

1)佐藤優氏(元外務相主任分析官)
 官僚支配を強化するため、一部の官僚の謀略でつくられた法案だ。これが悪用されると総理大臣や閣僚さえも「特定秘密」から疎外される。きわめて問題の多い法案だ。

2)平野貞夫(元衆議院事務局委員部長)
 高度情報化社会に文明が移動して「情報」は人間の食物や水・空気と同様なものになった。それを国家権力が独占管理しようとする恐ろしい法案だ。
立法権の国会も、司法権の裁判所も活動を制約されるどころか、国政上の下位になる内容だ。国会は自殺する気か。大正時代の、「治安維持法」よりタチが悪い。政治家が、こんなに文明観と歴史観が欠けているとは驚くばかりだ。

3)菅沼光弘氏(元法務省公安調査庁第二部長)
 「外国との秘密を共有するため」というが、外国とは米国のことではないか。米国で情報の管理がどんな状態か、世界中を大混乱させているのが現実ではないか。米国に従属するための秘密保護で、日本の自立をおかしくする法案で、国益にも反する。

4)亀井静香氏(元警察庁長官官房調査官・衆議院議員)
 私は警察庁に在職していて「秘密保護」や「秘密漏洩」の専門家だ。本当に秘密を保護しようと思うなら、取締りを厳しくしても効果は少ない。秘密を守れないのは、秘密を欲しがるユーザーがいるからだ。いろんな手を使って秘密に係わる人間を誘惑することに原因がある。秘密を欲しがるユーザーをなくすること、ユーザーが誘惑しても応じない公務員・人材を教育することが先だ。そんな努力もせず、米国と官僚の手に乗って、こんな法律をつくっても何の役にも立たない。

 この4人は、政治と行政のなかで、国民の目が届かないところで長年にわたり活動してきた人たちだ。国家権力の「秘密保護」の大事さを十二分に熟知したうえでの意見だ。ほとんど「右派保守」と思われる200人ほどの出席者全員が、4人の話を熱心に聞き入れ拍手してくれた。私のところには、保守の論客10人ぐらいが次々と駆け付けてくれて賛同してくれた。

(特定秘密保護法案は如何に画策されたか!)

 この法案は「月刊日本」という保守派の会合にみるように、右派でも左派でも真剣に国や国民を考える人たちにとっては、危険とするものである。では、何故この法案を政治家たちは強行成立させようとするのか、検証してみよう。

 私が衆議院事務局を退職して、参議院高知地方区から国政に参画したのは平成4年7月であった。平成元年の12月に、米ソ冷戦が終結し世界情勢が激変して、米国に依存しない日本の自立のため政治改革が始まった。その理念は「官僚支配」からの脱皮であった。国民から選ばれた政治家による責任政治の実現が国民の要望でもあった。
 官僚支配政治からの脱皮といえば、官僚の無駄遣い、天下りの禁止、行政改革等々が対象となる。国会運営の事務を総括していた私のところに、政治改革について、頭は良いが人間性に欠ける各省の官僚たちが顔を見せていた。当時、高度情報化社会がハイスピードで進んでいた。官僚たちは、まず省庁の所管事務を拡大させることに必至で、要件はその相談だった。

 情報に係わる技術や産業、ソフトウェアなど、各省で似たような事業がダブり始める。その矛盾を問うと「官僚社会は、情報化社会で問題が多発してやりにくくなる。生き残るためにはどの省が多く情報を持ち、管理するかの競争に勝たねばならん」とのことであった。私が国政に出た頃には、目先の利く官僚のなかには、21世紀から始まる「高度情報化社会」では、官僚が情報を管理できるシステムをつくれば、政治をコントロールできると腹の内を明かす官僚もいた。この頃から、官僚支配の政治の改革が行われても支配を継続することを狙っていたのである。

 その後、非自民連立政権の樹立から始まる政治混迷期となる。小泉自公政権は長期政権であったが、官僚側の分断策が成功して官僚が政治支配を狙う余地はなかった。第1次安倍政権では「国家公務員制度改革」を政治課題とし、渡辺喜美氏を担当大臣に起用して国民的人気を上げようとしたものの骨抜きとなる。渡辺氏はこれを不満として麻生政権で自民党を離党して「みんなの党」を結成する。
 平成21年9月に民主党政権に交代して、菅副首相を先頭に「官僚バッシング」を口汚く始める。これに怒った官僚たちが反撃を始め、翌22年に菅氏が首相に就任するや、完全に官僚の手先となり、総選挙の公約に反し「消費税増税」を主要政策にする。官僚がここで「情報管理制度」の成立に狙いを定める。そこに乗ったのが野田民主党政権の「秘密保護研究会」であった。

 民主党の構想が「知る権利」などへの配慮があるとはいうものの、基本的に現在の政府案の原形であり、今日に至った責任を免れるものではない。官僚支配に屈した民主党政権が、高度情報化社会での「知る権利」のさらなる重要性に気づかず、「秘密保護制度」への官僚支配を許したことは重大である。
 第2次安倍政権の成立で、NSC法案とセットで「特定秘密保護法案」を提出し、成立を強行するに至ったことには、公明党の責任も重大である。弁護士出身の山口那津男代表が、何と理屈を語ろうが、公明党立党の精神である「平和・人権・福祉」の理念に反して、自民党に妥協したことは許せない。その論拠は改めて述べる。

 さて、なんと言っても「みんなの党」渡辺代表の態度は、議会民主政治冒涜以外の何ものでもない。恐らく今後、政治家として国民からは相手にされないだろう。片や「日本維新の会」の混迷振りは論評にも値しない。
 要するに「特定秘密保護法案」が成立するとなれば、真犯人は自民党・公明党、共犯がみんなの党と日本維新の会となるが、他の少数会派の責任も問わなければならない。

(21世紀の「知る権利」の意義を考える!)

 20世紀の知る権利は、1)報道の自由、2)国民が国政の情報を請求する権利など、情報公開を中心としたものであった。21世紀でもこの考え方は必要であるが、高度情報化社会となって「知る権利」は単なる形式上の権利ではなく、国民が生活する上で必需の権利となった。国民が政治・経済・文化・社会・宗教などで活動するため、公権力が持つ情報に関わり、活用しなければ生きていけない状況になっているのが、21世紀の高度情報化社会だ。
 これを例えば、その他の安全保障に関する事項(外交秘密)で処理されるなら、安全保障といえば経済・エネルギー・食糧など、日常生活と直結している。要するに国民の生活活動さえも、官僚の情報管理の対象となることを狙っている。
 他の少数政党の反対論議には、この法案が人間が生活する、生きていくことに干渉する恐れ、即ち「生存権」を侵す可能性があり、立法してはならない多くの問題を含んでいることこそ追求すべきである。
                                                     (了)

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