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「日本一新運動」の原点―196

                               日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

〇『経済学は人びとを幸福にできるか』(宇沢弘文著)を読んで!

 年末年始には新しく刊行された書物を読むのが習慣になっている。今年は、昨年11月に東洋経済新報社から出版された表題の本を読んでみた。経済問題に疎い私が、いま知りたいことは「市場原理主義の本質は何か」についてである。
 宇沢弘文氏については、昭和49年に岩波書店から出版された『自動車の社会的費用』を読んで感動したことを憶えている。当時、私は前尾繁三郎衆議院議長の秘書であった。この本は、自動車生産が激増し多くの国民が保有し、日本経済が躍進する一方で、交通事故が急増、大気汚染も深刻となり、自動車道路建設が弱者を犠牲にして進む状況などについて、その「社会的費用」の膨大さを指摘、告発したものであった。

 ある日、前尾議長のお供で議長車に乗って都内の道路を走行中のこと、私は〝飛び出すな車は急に止まれない〟という立て看板に気がついた。これは当時、警察庁が国民から選んだ交通安全の標語であった。私は何気なく「これは人間より自動車を大事にする思想ですね」と、前尾議長に話しかけたことがある。
「よく気がついた。〝気をつけろ、子どもはいつでも飛び出すぞ〟が本当だよ。高度経済成長の結果、人間の大事さが忘れられるようになった。その発想が大事だよ」と、珍しく誉めてくれた。

 本号で推薦する『経済学は人びとを幸福にできるか』は、平成15年に出版された『経済学と人間の心』を底本として新装改訂されたものである。実はこの著書を不覚にも読んでいなかった。その不勉強のせいで新装改訂本が、ものすごく新鮮に感じた。冒頭に『新装版によせて』という解説的宇沢論を、池上彰氏が執筆している。これがすばらしい。是非ご一読を勧めたい。

(市場原理主義者―ミルトン・フリードマンの正体)

 フリードマンといえば、シカゴ大学教授で市場原理主義を代表する経済学者であることは衆智のことである。日本でも多くの経済学者やエコノミスト、政治家や官僚に影響を与えている。代表的な人物は竹中平蔵氏で、小泉政権が手がけた「構造改革」は、フリードマンに繋がるものである。真に日本に必要な「構造改革」とは、まったく異質のものだ。
 世界恐慌に発展しかねなかった米国の「サブプライムローン問題」は、フリードマンの市場原理主義が極端な形で出たものだといわれている。わが国で現在、不安と期待で展開している「アベノミクス」も、フリードマンの考えが原点といえる。

 このフリードマン教授の正体を最もよく知っているのが、宇沢弘文氏である。1964年(昭和39年)にシカゴ大学に移り、1968年(昭和43年)に東大に戻っているが、4年間ぐらい経済学部教授として、同僚であったわけだ。新装版は「フリードマン批判のため」とも言えるもので、わが国の経済・金融政策が、フリードマンの流れで進んでいる現在、その正体をしっかり知っておく必要がある。
 宇沢弘文氏は2010年(平成21年)1月8日に、経済倶楽部で『平成大恐慌―パックス・アメリカーナの崩壊の始まりか』という講演をしている。その時、次のように発言している。
「市場原理主義は、フリードマンに代表されるんですけれど、ベトナム戦争のとき(企業自由主義を護るためには)、水素爆弾を使ってもいいと大声で主張していました。そんな思想の持ち主です。それが『ニューヨークタイムズ』に出て、(フリードマンと同じシカゴ大学にいた)私たちは非常に迷惑したこともあるんです」(要約)

 また、2009年(平成21年)の経済倶楽部での『社会的共通資本は市場原理主義では守れない』という講演で、次のように発言している。
「フリードマンの信奉していた市場原理主義は、(企業の自由をことん追求できるだけ儲ける機会をつくりだす)ネオリベラリズムよりずっと過激です。彼が生命をかけて成功させた銀行と証券業務の垣根を取り払ったことの帰結が、サブプライムローンの大惨事です。
 これは、差し押さえ処分などを受けてブラックリストに載っているような貧しい人でないとサブプライムローンを受ける資格はなく、最初の2年間ぐらいはきわめて低い金利を約束し、米国の金融機関は金融工学を駆使して新金融商品を世界中で売り歩いた。フリードマンがかねがね主張している、貧しい人たちを絞って、できるだけ儲けを多くするという市場原理主義の破綻がこういう形になって、100年に1度という大惨事を招くことになったわけです。
 フリードマンの市場原理主義には一貫した経済学の考え方というのはないんです。あらゆる規制をとっぱらって、狂信的に大企業をいかに儲けさせるかというものです。トリクル理論というのがありますが、金持ちに恩恵を施すと、滴が落ちるごとく貧しい人にも落ちる(trickle down)というものです。ブッシュ政権の経済政策の基本でした」(要約)以上は、宇沢氏の市場原理主義についてのフリードマン批判のごく一部である。

(フリードマン派マフィアに牛耳られている日本の経済と金融政策)

 わが国のエコノミストの大半は、フリードマンの信奉者であり、大企業が儲かる政策を実現すれば、トリクル理論で貧しい人にも滴が落ちると信じているのだ。
 安倍自公政権が目玉として自賛している「アベノミクス」は、異次元の金融緩和といい、大企業への大盤振る舞いといい、民衆からの収奪(消費税増税をはじめ、負担増など)といい、フリードマンの市場原理のモデルのような政策であることが、宇沢氏の発言でよくわかるであろう。サブプライムローン問題などの米国の歴史的失敗を、日本が追随することの愚策を、指導者たちはどうして理解しないのか、不思議でならない。
 大金持ちをさらに儲けさせる思想を国策として日本の国に将来はあるのでしょうか。今年いただいた賀状の中に「内外の不安はつきませんが、とりあえず活況です」との添え書きがあった。送り主は東京証券取引所関係の大幹部からである。財界人にもフリードマン理論の正体を知っている人物がいるようだが・・・・。

〇 細川元首相の東京都知事選出馬をめぐって!

 1月14日(火)、細川元首相と小泉元首相が会談し、細川氏が東京都知事選挙に出馬する決意を述べ、協力を要請した細川氏に、小泉氏は全面的に応じることを表明した。両元首相は記者団に「原発ゼロでも日本は発展できる」ことを明言、『脱原発』が都知事選の争点となった。細川元首相と私の関係について語ることは省略するが、今回の都知事選出馬の経緯については誤解もあるので説明しておきたい。
 実は昨年暮れ、12月20日頃、午後9時過ぎであったが細川さんから電話があった。久しぶりの電話で「年明けに会いたい」との一言だけだった。私は「わかりました」と答えて電話は終わったが、用向きのすべては理解できた。都知事選に出馬する意思があること、それを小沢一郎さんに伝え、協力して欲しいことが細川さんの用件だと思った。次の日に小沢さんに伝えた。私がやったことはそれだけである。


 細川元首相の英断を立派だと歓迎するが、当選には、いろいろと妨害があり、決して楽観はできない。まず、両元首相は「原発ゼロでも日本は発展できる」という意味を、本当に理解しているかどうかだ。これは「原発資本主義をやめる」ということだ。理解しているなら画期的なことなので、ぜひ実現して欲しい。
「脱原発」の原点は「福島原発事故の解決」に見通しを付けることである。これができなければ東京オリンピックも開催できない。東京都の防災問題の第一は、今日でも「放射能対策」だ。しかも、東京都板橋区ホタル環境館では、究極の脱原発である「30年のセシウム半減期を2ヵ月程度にする放射能低減」の実証・検証実験に成功している。この東京都で生まれた物理学の定説を修正する世界的技術の研究開発を東京都がこれまで無視してきた。知事選で採り上げ東京五輪を新しい文明のスタートにしてもらいたい。
 また、細川さんの総理辞任の理由を、佐川急便問題だと意図的に流されているがこれは間違いだ。私が問題の処理を行ったので、誰よりも詳しく知っている。次の機会に説明しよう。 
                                          (了)


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