「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

 都知事選―「変えられない政治」の時代

                                          達増 拓也
                                         (岩手県知事)


 都知事選で当選した舛添要一新知事には、東京都政のかじ取りをしっかりやってくださることを念じながら、祝意を表したいと思います。

 一方、今回の都知事選で私が感じるのは、今の日本は「変えられない政治」の時代になっている、ということです。国民の良識やまじめな思いが政治を変えられず、政治が世の中を国民にとって好ましい方向に変えられない時代です。

 2011年3月11日の東日本大震災とそれに伴う原発事故は、日本国民の心を激しく揺さぶりました。国民の多くが、命の大切さ、人と人との絆の大切さを痛感し、人と社会のあり方について真剣に考えました。そして、原発に頼るエネルギー政策など、今までのやり方を見直さなければならないのではないか、という思いが広がりました。

 2009年に国民の選択で政権交代を実現するまでに成熟した日本の政治は、「3.11」を経験して、さらに一段高い次元に進むべき局面にあったと思います。ところが、菅内閣と野田内閣が、消費税増税で自民党と合意することを国会の最優先テーマとし、混乱の中で総選挙に突入。「3.11」関係が争点にならず、選挙の結果、大政翼賛的な国会になってしまいました。


「変えられる政治」を求めて2009年政権交代を実現した民意に即し、さらに「3.11」で深まった民意に即して、「変えられる政治」を発展させようとする動きは、2012年衆院選での嘉田由紀子・小沢一郎の戦いが第一幕、そして今回の東京都知事選での細川護煕・小泉純一郎の戦いが第二幕となりました。

 それぞれの戦いの前には、反原発の運動や特定秘密保護法反対の運動など、インターネットと現実の動きが連動し、多くの文化人が加する運動が盛り上がりました。

 これだけの歴史的背景、状況の切実さ、そして運動の盛り上がりがあるにも関わらず、政治が動かない、「変えられない政治」。

 NHKの会長や経営委員が問題発言をしても責任が問われないということも、国民の良識が世の中を動かすことができないという意味で、「変えられない政治」の一現象です。


 菅内閣・野田内閣が消費税増税に走って民主党マニフェストを自己否定したことが、政権交代の自己否定となり、「変えられる政治」を崩壊させました。後に残ったのは、自民党政権、官僚主導、対米依存、という昔からの政治に、さらに復古的な要素も加わった政治の流れです。その流れを「変えられない政治」です。

「決められない政治」からの決別が一時言われました。今、いろいろ決まる政治になりましたが、官僚主導で、かつ国内外の不信、対立、混迷を増幅させるような流れに沿って、悪い流れを追認するような形で多くのことが決められているのではないかと懸念します。

 本来、政治の本質は「チェンジ」であり、政治家たちは好ましい変化を求めて競い合うべきなのですが、国会議員を中心に多くの政治家たちが流れに乗ることを競い合い、変化を引き起こそうとしなくなってしまっているのではないでしょうか。

 先の衆院選でも今回の都知事選でも、「変えられる政治」を目指す政治家たちが少数であり、陣立ても整わず、変えたいという民意を形にできませんでした。流れに乗ろうとする政治家が多数で、陣立ても整い、マスコミも「変えさせないマスコミ」として流れに乗ろうとする傾向が強く、「変えられない政治」の時代が続きます。

 国民の良識やまじめな思いと共鳴しながら、好ましい「チェンジ」のビジョンを示し、陣立てを整えていく政治の動きが必要です。少数が支持を増やして多数になっていく、ということも政治の本質であり、だから「チェンジ」が政治の本質なのですが、それは、政権交代が機能することが政治の本質、ということでもあります。日本国民の良識とまじめな思いは、世界に誇れると思います。それを力にして世の中を変えていかないのはもったいないことです。


 私は、東日本大震災からの復興の現場において、日本国民の良識とまじめな思いを力にすれば、被災地に復興という「チェンジ」を実現することは必ずできるという手ごたえを感じています。

 Yes,we can!です。復興は、被災者ひとりひとりの生活を再建することであり、とりこぼしが許されません。そのような国民本位の視点を国政全般に広げることで、日本の政治は再生できるのではないでしょうか。            

                                               (終)

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