「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

◎「日本一新運動」の原点―235

                                日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

○『民主党政権とは何だったのか』
      (山口二郎・中北浩爾他編、岩波書店)を読んで!

 9月の中旬、朝日新聞読書欄に掲載された諸富京大教授の書評につられて本書を読む気になった。山口二郎・中北浩爾という、著名な政治学者が編者となって10名の学者が民主党政権のキーパーソンたちへのインタビューをまとめたものだ。肝心なところで、政治の真実をねじ曲げる意図を強く感じた。主要な点を指摘しておく。

1)政権準備について 
 平成19年元旦に小沢邸で、菅氏本人と小沢代表から「菅代表代行の国会運営と政権交代への対応の相談役」になるよう依頼され、2年間、小沢秘書逮捕直前まで務めた。
 「統治力(ガバナビリティ)を、戦略的自己抑制力と考えろ」。
 「英国の統治方法を採用したい」と強く言うので、「勉強するのは良いが、本当のノウハウは教えない。日本とは別の談合政治だからだ」。政権交代直後の対応について心配するので「国家戦略局なんていう派手な話は出さず、まず6ヵ月は意図的に従来の内閣機構のままで臨み、主要官僚の心をつかめ」などと進言したが、すべて真逆のことをやった。

2)マニフェストの財源16・8兆円について
 小沢・藤井氏の「政権をとればどうにでもなる」を、無責任と批判しているが、「一般会計と特別会計を合わせて約200兆円の10%を節約する。予算の組み替えで捻出できる」ことを、わかりやすく説明できる政治家が殆どいなかった。鎌ケ谷市での民主党の会合で参加者から財源捻出の質問が出て、出席していた、福山哲郎政調副会長が答えられず、私が「明治以来、政府の通帳は表も裏も各省が握っている。それを政権交代で内閣に引き上げて、新しい通帳を各省に渡すことだ」と説明。福山氏も参加者も理解した。決して〝法螺話〟などではない。

3)政権交代ができた最大のリアリズム
 麻生政権は、民主党の資金不足を知っており、日干し作戦で意図的に解散を遅らせていた。7月21日に勝利を確信して解散を断行した。小沢民主党選対本部長はそれを見通し、解散直後、当落の境目で資金不足に喘ぐ約80名の公認候補者に一人宛500万円(一部は300万円)づつ配布した。この資金は、私が代表の政治団体からの資金に、不足分を小沢氏の資金団体が出したもので、合法的な資金を法に適う方法で配布したことが政権交代ができた〝最大のリアリズム〟といえる。このことが表面化すると想定しないことが2つ起こった。ひとつは、私の政治団体の資金はゼネコンからの裏金と検察が早合点して捜査した。結果は、新生党時代から政権交代用にプールなどによる合法的な資金だった。
そのとばっちりを受けたのが、「陸山会事件」であった。本来、合法的処理であった資金報告を、陸山会にだけ解釈運用を変えて事件化し、小沢氏の失脚を狙ったのだ。主任弁護人であった弘中氏は、刑事弁護レポートという論文の中で『妄想から始まった事件(政治資金規正法違反被告事件(陸山会事件))は実在しなかった』と断定している。
 一方の民主党内では、小沢氏の私心のない英断に対し「党を金で支配するのか」と曲解し、菅直人に代表される権力亡者たちは、小沢排除に加えて罪人に仕立て上げようと画策した。人間を信用できない民主党の幹部たちは政治家として失格である。ここを論じないかぎり、「民主党政権とは何だったのか」の真の解答にはならない。

4)鳩山首相退陣の真相
「鳩山首相に退陣を説得し私も辞める。菅副総理に交代して挙党態勢で参議院選挙に臨みたい。会期末でもあり、憲法上の手続の問題点を言って欲しい」と、小沢民主党幹事長から電話があったのは平成22年5月27日であった。
 鳩山首相が納得したのが6月1日だった。小沢氏は5日間懸命に口説いたのだ。鳩山首相が小沢氏に幹事長を辞めるよう指示したのは、党の総裁として面目を重視する小沢氏の知恵であった。
菅氏は突然、小沢排除を宣言した。

5)野田首相の出現が日本混迷の原因
 ポスト菅をめぐって細川元首相から野田佳彦氏を支持するよう要請があったが、私は拒絶。理由として、千葉県知事選挙で自公と組んで利権県政をつくろうとした手法や選挙区における自民との談合姿勢を挙げ「野田政権になれば民主党は崩壊、日本は戦前回帰へ向かう」と警告しておいた。自公に騙された消費税増税の悪政は言うに及ばず、「特定秘密保護法」の構想も野田政権でつくられたもの。山口・中北両氏の「民主党政権の可能性を示した政権」との評価を読むにつけ、「それでも政治学者か」と言いたい。

○日本国憲法と「国連の集団安全保障」(12)

 第16回参議院通常選挙が平成4年7月26日(日)に決まった。私が衆議院事務局を退職したのが2月28日、出馬表明が3月1日だから実質的選挙準備期間は4ヵ月だった。他の候補は2年前から準備しているのが普通だ。特に自民党公認として県連が党本部に申請しているのは、現職国務大臣の谷川寛三参議院議員である。
 自民党本部は小渕幹事長・野中総務局長が経世会で、竹下首相の側近という関係だ。私を経世会から当選させて、国会運営と政策立案能力を活用しようという魂胆がギラギラする中での選挙だった。自民党分裂選挙を避けるべく私の知らないところで谷川大臣を引退させる工作が行われ、谷川候補は出馬しないことになる。
 ところが、後始末をめぐって不満分子が暴力団に近い右翼を使って私の「褒め殺し」を始めた。竹下元首相の「皇民党褒め殺し」の真似事である。これには参ったが、結果的には知名度のない私を有名にしてくれた。小沢さんは竹下―野中ラインとは別に、公明党や民社党、それに親しい社会党支持労組に手を伸ばして支持を拡げてくれた。史上初めて、与党(自民党)と野党(公明党)から推薦を受けることになる。「ジョン万次郎記念国際貢献PKO訓練センターの建設」は、国連への期待もあり県民に理解され、当選することができた。
 当選が決まった翌7月27日、小沢さんから「直ちに上京してくれ!」との電話。上京して事務所に顔を出すと「社会党の若手から、社会党は自己改革できない。新しいグループを作りたいので協力して欲しいとの話がきている。それを踏まえて政界再編をスタートさせたい。準備してくれ」とのこと。まるで、政界再編が私の当選を待っていたのかと緊張した。

 ところが、8月20日大事件が起こった、経世会会長の金丸信自民党総裁が、東京佐川急便から5億円の政治資金を受け取ったと朝日新聞が報道した。金丸氏は党総裁と経世会会長を辞めた。
経世会は後継をめぐって紛糾が始まった。その最中、9月17日に、わが国初めてのPKO派遣が、カンボジアに向け出発する。
経世会は12月18日に分裂し、羽田・小沢グループは改革フォーラム21」を結成した。
 この経世会の内紛を横目に、自民党の「国際社会に於ける日本の役割に関する調査会」(小沢調査会)は精力的に調査活動を行っていた。この時期、小沢調査会の影響を受けて米ソ冷戦終結後の日本国憲法のあり方について、政党レベルを超えた論議が行われるようになった。主なものを挙げると、

1)平成4年9月 鉄鋼労連大会に出席した山岸章連合会長は、「憲法をポスト冷戦に対応した方向に改善するという議論を行うべきだ」と発言。

2)同12月4日 民社党は「民社党と語る会」で、憲法問題に関する民社党の提言を発表。国連協力について積極的活動を要請した。

3)同12月9日 読売新聞社の「憲法問題調査会」は、第一次提言を発表。

4)平成5年1月25日 公明党の石田委員長は、衆議院の代表質問で「戦後50年の節目にあたり、タブーのないすべての制度を抜本的に見直すべきだ」と、憲法論議の必要性を主張。

5)同二月 社会党の委員長選挙に際し、山花貞夫委員長は「創憲論」を提言。

 話題の中心であった「小沢調査会」は、平成5年2月20日に提言として発表した。答申として整備したうえで宮沢総裁に提出することになった。この時期、カンボジアへわが国がPKOに参加するかどうか、各党が熱心に議論を行っていた。提言の「はじめに」の冒頭で、次の基本理念を提示している。

「第2次大戦に至った日本の歴史を見ると、日本は国際連盟から脱退し、国際協調を放棄して、日本だけの『正義』を掲げ、結局無謀な戦争に入った。過去の歴史を真摯に反省し、2度と同様の行為を繰り返してはならないことは当然であり、恒久の平和は、日本国民念願である」

 これが、21年前の自民党の基本理念であった。現在の、安倍自公政権が断行しようとしている「戦前回帰」の諸政策を見るに、真逆な方向に進んでいるとしか思えない。
「積極的平和主義」や「地方創生」など、どこかの誰かの、思想性のない造語を、自己正当化のために呪文のように使う安倍首相の姿を哀れに思うこの頃である。
 次号では、小沢調査会の要旨を紹介する。
                                                  (続く)

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