「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―279

             日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇『戦後70年安倍談話』の不純な動機と本音隠しの内容!

 

 8月14日(金)、安倍首相は世界中が注目の中「戦後70年談話」を発表した。村山首相の「戦後50年談話」を継承するか否かが話題となり、結局は村山談話の3倍もの長文となったことに、すべての問題がある。

 しかも、わざわざ「21世紀構想懇話会」という諮問機関までつくって歴史に残る談話を目論んだが大失敗に終わったといえる。自民党内からさえ「出さない方がよかった」という意見も出てくるほどだ。その理由は安倍首相の不純な動機にある。

 歴史修正主義を潜在的に共有する人物たちで懇談会をつくり、議論を始めるまでの安倍首相の戦略を推測してみよう。

 まず、安保法制諸法案を8月10日までに衆参両院で成立させ、その成果と勢いで、村山談話の質的変更を図る談話とすることを狙ったといえる。「反省」や「おわび」などから決別して「集団的自衛権行使」という新しい軍事国家日本を、世界に示そうというのは言い過ぎか。その目論見が6・4事件(憲法学者の反乱?)に遭遇して国民世論がその危うさに気づき〝反アベ安保法制運動〟が燎原の火のように拡がった。かくして「安保法制」成立に赤信号が点った。これが成立しないと政権を続けることができない。そこで「戦後70年談話」を最初の戦略通りに使うことができなくなる。そして、それを利用して「村山談話を継承」して安保法制は平和のためと国民に訴えることになった。

 

 ところが「村山談話」と「アベ安保法制」は相性が悪いどころか対立した思想である。料理に例えるなら「絶対にやってはいけない〝危険な食べ合わせ〟」に属する話である。それをミックスしたのが「戦後七〇年安倍談話」なのだ。〝危険な食べ合わせ〟は命に関わる。その言い訳に異例の長文となり、違和感で綴られた昭和史の安倍講義となったわけだ。

 当然、内容の空虚さと論旨不明という批判が多くの人々から寄せられているが、一点だけ指摘しておきたい。「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」のくだりだ。まったくその通りだ。そのためには、現在の私たちがなにをすべきかにある。答えは簡単だ。安倍首相自身が歴史修正主義と決別し、安保法制を参議院で審議未了廃案にすることだ。近隣諸国の人々は「謝罪はもういいよ!」となる。

 

〇 安全保障法制関連法案を廃案にする〝死角〟がありますよ!  14

 

 8月の後半になって安保法制反対運動に大きな変化が生じている。それは『安全保障関連法案に反対する創価大学・創価女子短期大学関係者 有志の会』(http://bit.ly/1PgL2xf)の署名活動である。声明文を読んだが、しっかりと問題点を抑えており、17日現在で1200名を超える署名が集まったとのこと。これが諸法案の成否に直接影響するかどうか、楽観は許されないが反対運動の盛り上がりにはきわめて効果が期待される。

 30日に計画されている全国デモ100万人、国会取巻10万人が成功すれば、衆議院での再議決の阻止には役立つと思う。

 

(緊急集会 ぶっ壊せ!アベ安保法制)
  場  所 憲政記念館 東京都千代田区永田町1-1-1
  日  時 8月26日 (水) 午後3時30分 開場
                 〃 4時00分 開会
                  〃 6時00分 終了
  入場料  無 料 ※事前申し込みは不用です。
  実行委員会 共同代表:二見 伸明(元公明党副委員長)
             平野 貞夫(元自由党副幹事長)
  統括事務局:日本一新の会事務局

 戦後70年で立憲主義の最大の危機といえる「アベ安保法制」の国会審議が参議院でクライマックスとなった。野党が結束して臨めば、国民世論の後押しで廃案に追い込める状況である。それができず、個々人の点取り主義で、根本的で本質的な問題がほとんど採り上げられていない。

 その理由は、米ソ冷戦終結時に政府与党・自民党幹事長であり、その後も与党、あるいは野党の立場で、わが国の安全保障政策をリードしてきたのは小沢一郎氏であった。その小沢さんが不条理な政治弾圧の中で現在の国会で発言権を持っていない。憲法と安全保障問題では、現職国会議員のなかで、もっとも秀でた見識を持っている人物を国会審議の場に出させない、否、与野党とも出したくないからである。

 

 クライマックスとなった「アベ安保法制」を廃案に追い込むためには、集団的自衛権の違憲性の根本を分かり易く国民に知って貰わなければならない。さらに、新ガイドラインが憲法に違反するものであることを、逸速く警告したのは他ならぬ小沢さんである(4月28日付生活の党代表談話 http://bit.ly/1WxDAn4)。

何とか小沢さんの見識を国民に知って貰うために、せめて国会に最も近い『憲政記念館講堂』で、〝緊急集会 ぶっ壊せ!アベ安保法制〟を開催することになった。8・30全国100万人デモに先だって、8月26日(水)の午後3時半開場で行う。要領は「緊急告知!」号のとおりだ。お仲間内やご家族などにも吹聴いただき満杯の開場でのタウンミーティングにしたいと願っている。

 

(日本国憲法の制定時、「集団的自衛権」はどんな理解をされていたのか!)

 

『マスコミ市民』(http://bit.ly/1PgMVu1)という月刊誌がある。安倍自公政権、NHKをはじめ、巨大マスコミを批判することで知られ権力や利権を嫌う元ジャーナリストたちでつくる月刊誌だ。9月号に「安保法制と安倍政権を斬る」という題で執筆を依頼された。その冒頭の項を「集団的自衛権が国連憲章に採用された理由と胡散臭い使われ方を知るべし」として、例によって悪筆で、安倍政権と、与野党の不勉強と不見識を非難する文章を届けた。

 このゲラを読んだ元外交官の天木直人氏からメッセージが届いた。「ホメ殺し」的なものであったが、私の指摘を「日本国民はおろか、政治家さえ殆ど知られていない重要な歴史的事実だ」として、この文章をさらに正確で攻撃的なものにするため、会いたいとのこと。これはありがたいと、8月13日(木)石堀編集長の案内で新橋の「浪漫亭」で会った。

 天木氏と話をしたのは初めてで、中々の偉才で勉強になった。私の指摘を半分正しくて半分誤っているとし「正しい部分をもっと国民に分かり易くなおすと、安保法制の国会審議に影響を与えることができる」とのこと。さらに「日本国憲法第九条の立案・制定から集団的自衛権の有り様を検証しては」とのアドバイスを受けた。八〇歳になっても「素直」が取り柄の私は早速実践した。

26日の緊急集会の参考に、要点を紹介しておく。

 

1)集団的自衛権が国連憲章に採用された理由と胡散臭い使われ方を知るべし

 

 安倍首相を先頭に解釈改憲派は「国際法上の国家の権利」として、いかにも普遍的で正当性があるものと公言しているがこれは問題である。国連憲章上の権利ではあるが、日本については特別な問題がある。国連は「国家間の戦争を禁止するため」に設立したもので、「集団的自衛権」は草案に入っていなかった。それを例外として入れることになったのは、5大国が拒否権を持つことになったことにある。米大陸の小国が5大国との関係が浅いため、米国を通じて小国対策としてのもので、多くの国際法学者は「国連設立の趣旨に反し将来問題になる」と厳しい意見を述べている。

 

2)日本国憲法第9条は、「集団的自衛権」を放棄してつくられたことを知るべし

 

 日本国憲法の制定準備が始まったのは、国連憲章の発効と同時であった。GHQマッカーサー司令官は、国連憲章の理念を日本国憲法に活かすことを考え、3原則を提示する。その中に第9条2項の原形文がある。「日本はその防衛と保護を、いまや世界を動かしつつある崇高な理想にゆだねる。日本が陸海空軍をもつことは、今後も許可されることなく、交戦権が日本に与えられることもない」。

 マッカーサーの真意はほとんど理解されていない。この時期、国連安保理の決議により、国連軍を結成するため5大国の軍事参謀会議が開かれていた。マッカーサーは、日本の安全保障を西太平洋に設けられる国連軍に担当させる構想であった。「いま世界を動かしつつある崇高な理想」とは、そのことだ。

 日本国憲法が審議され公布される時期までは国連の理想主義は生きていた。正当防衛としての自衛権と国連軍への協力・参加が盛んに議論された。しかし、マッカーサー3原則から集団的自衛権は放棄されており、議論はまったくなされていない。歴史とは皮肉なもので、憲法が施行された昭和22年5月には米ソ冷戦が始まり、憲法9条の国際的基盤は失われた。

 国連に残ったのは理念の例外である「集団的自衛権」であった。その後の日本の為政者は、厳しい環境の中で憲法九条をぎりぎりまでに活用し、繁栄と安定の政治を続けてきた。それは集団的自衛権が戦前の軍事国家に回帰する要因であると察知していたからである。       (続く)

 

       (「平成の日本の政治改革の原点」は休みました)

 

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