「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―333

日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇民進党代表選挙に思う

参議院議員を野党第一党の代表とすることの憲法問題!

 

 9月15日に投開票される民進党の代表選は8月26日に前原誠司衆議院議院が記者会見で立候補を表明した。すでに立候補を表明している蓮舫参議院議員との一騎打ちとなる。蓮舫氏の無投票当選を画策していた憲法音痴の政治家がいたようだが、仮にそうなれば民進党は世界の笑われモノとなったであろう。

 蓮舫氏が無投票当選となると、民進党は政権交代する意志がなく、自民党の策に乗っかり対案政党として自公政権との談合政治に生きて行くのか、と国民から烙印を押されることになる。民進党は、参議院議員が内閣総理大臣になることが、憲法上問題があることについて理解がないようだ。

 

 日本国憲法第67条の内閣総理大臣の国会の指名は、国会議員からと明記している。憲法学者の通説を踏まえ、解釈運用で議院内閣制など衆議院の優越の本旨から、総理大臣は衆議院議員であることを前提としている。

 過去の国会での内閣総理大臣の指名で、少数会派の代表である参議院議員を投票用紙に記名したケースは間々ある。しかし野党第一党の会派の代表者は政権交代の際、首相となるべき立場としてすべて衆議院議員であった。現憲法下、野党第一党は政権交代が何時行われても対応できるよう衆議院議員を代表に選んできた。これが憲法の適切な運用というものだ。

 但し1回だけ例外がある。昭和35年10月12日、浅沼稲次郎社会党委員長が右翼少年に刺殺されたため、参議院議員の江田三郎書記長が委員長代行となった。衆議院解散(10月17日)、総選挙(11月20日)が直前という緊迫した中で、委員長を選ぶことができず、特別国会で総理大臣の指名に野党第一党の社会党は参議院議員・江田三郎に投票した。なお翌年3月1日に河上丈太郎衆議院議員を委員長に選んだ。

 また社会党は、昭和52年に当時の横浜市長であった元衆議院議員の飛鳥田一雄氏を委員長に選出したが、直近の衆議院選挙、(昭和54年10月7日)に出馬し当選した例がある。これら、ふたつの先例を検証するに、前者は緊急避難としてのものである。後者は社会党内の人事抗争が原因とはいえ、直近の衆議院選挙に出馬することで、憲法の本旨と政治の現実を調整したものである。

 誤解のないように言っておくが、私は蓮舫氏が民進党代表選挙に立候補することに反対しているのではない。憲法の本旨と先例に照らし、仮に蓮舫氏が当選した場合、直近の衆議院選挙に出馬することを表明すべきであると思う。

 

 政権交代とは総選挙の時だけに起きるものではない。何時どのような事態で起こり得るかもわからない。従って、それに備えるのが野党第一党の責務ではないだろうか。民進党は、まず「参議院議員の首相就任」について、憲法上可能か否か見解を表明した上で、不可というなら直近の衆議院選挙に出馬することを、民進党として勧告すべきだ。この論議がなく、代表選が行われるなら、立憲主義を無視したともいえる。

 立憲主義とは安保法制のみではない。統治権を創設する基本問題であることは忘れてはならない。

 

〇私の「共産党物語」 ⑱

(平成時代初期の共産党の変化)(続)

 

 平成元年6月2日、竹下内閣は総辞職し後継に宇野宗佑内閣が成立した。歴代内閣が成し得なかった消費税制度の導入に成功し、誰しもが長期政権確実と思っていた竹下政権の終焉はあっけなかった。前年の昭和63年11月末、消費税関連法案の成立の見通しが立った時期、竹下首相は「税制改革後の政治展開」について意見を求めてきた。長期政権への戦略を考えるためだ。私の意見の要点は次の通りであった。

 

「最近、ご主張されている〝政治改革〟を是非、政治テーマとして投げ続けていくべきです。選挙制度の改革、政治資金のあり方、政治倫理の確立等々を具体的に実現していくことは困難なことですが、これらの政治イニシアティブを竹下総理がもっておくことは、これから起きる政治構造の流動化時代のイニシアティブを握ることになります。また、日本の民主政治の発展にも役立つことになります」

 

 この私の竹下首相への進言が、今日に続く「平成の政治改革」による政治混迷の種となる。長期政権のために「政治改革」が、退陣にあたり国民への「格好付け」となるのである。竹下首相の退陣は、リクルート事件で疑惑を持たれた中曽根前首相との権力闘争に敗北したことによる。従って退陣の遺恨は、自民党が政治改革について国民に約束することで、実現できないことを実行する形で「六方を踏む」パフォーマンスであった。これが悲劇の始まりとなる。

 竹下首相は5月下旬、総辞職にあたって自民党の政治改革委員会(会長・後藤田正晴)がまとめた『政治改革大綱』の実現を、自民党両院議員総会で要請し、退陣にあたっての国民への公約とした。この『政治改革大綱』策定は、退陣表明の際、竹下首相が発想したものであった。後藤田会長を中心に自民党内の改革派が非公式に国会事務局や国会図書館、学識有識者ら、当時のわが国の政治改革派を結集して、連休も休まず作成したものだった。

 

『大綱』の要点は、衆議院に比例代表制を加味した小選挙区制を導入し、政権交代を可能とすると共に、国会・地方議員の資産公開・パーティーや寄付の規制、政治資金による株式売買の禁止などであった。また、派閥と族議員の弊害を除去し、わかりやすい国会を実現しようとするものであった。この『大綱』策定作業には私も参加して、政権交代が可能な仕組みづくりを主張した。

 この構想が公表され、猛反発したのが共産党であった。小選挙区制の導入が二代政党化を促し、共産党を排除していくという論であった。

 竹下首相の後継はすったもんだの末、宇野宗佑外務大臣となる。その宇野首相に女性スキャンダルが発覚し、7月23日の参議院選挙で自民党は惨敗する。消費税導入やリクルート事件を追い風とした「土井たか子ブーム」で、社会党は共闘した連合を併せて57名を当選させた。共産党はそのあおりで、比例区4名と地方区1名の当選で停滞状態となる。自社55年体制となって、自民党が参議院で少数となるのは初めてのことであった。

 

 敗北の建て直しのため自民党は海部俊樹氏を総裁とし、幹事長に小沢一郎氏を起用、「抜本的政治改革」を実現することに本気となる。それは自民党の再生のためだった。そんな矢先、ソ連圏をめぐる国際情勢が激変し平成元年12月2日、米ソ首脳会談で「東西冷戦の終結」が合意された。各党とも冷戦終結で激変する国際情勢にどう対応すべきか苦悩が始まる。

 海部―小沢自民党政権は、冷戦終結をきっかけに「自社談合賄賂政治」を改革して、野党も国政に責任を持ち政権交代を可能とする政治改革を断行しようとする。公明・民社両党は、これまでの社会党への反発から政党再編の道を指向するようになる。社会党の既得権維持の自社談合派は、自社体制を死守しようとする。共産党は「小選挙区制導入」は党の死活問題として強く政治改革に反対した。社公民の従前からの審議拒否や、物理的抵抗などが「談合政治」の手段となっているとし、社公民との距離を置いた国会運営を指向していく。

 

 平成2年2月18日の総選挙は、自民党の政権の存立をかけたもので、291名で海部政権を継続させたが、参議院での少数は変わり様もなかった。参議院対策もあり、海部政権は本格的政治改革に着手した途端、中東でイラクがクエートに侵攻するという「湾岸紛争」が勃発した。

 政治改革を棚上げして、冷戦終結後初めての国際紛争に海部政権は立ち往生する。事態は米・ソの協力で、国連が発足以来初めて機能する。「紛争」は「戦争」となったが、海部政権は公明・民社両党と合意した「国際平和協力に関する合意覚書」を活用して事態を乗り切った。2月28日に米ブッシュ大統領が戦争終結演説を行い、3月に入り事態処理を済ませた。政局の話題は自公民体制を固める東京都知事選挙に移る。

 

 4月3日午後2時、「赤旗」の井上記者が来訪。要件は、前年(平成2年)11月に発足させた「ジョン万次郎の会」について聞きたいとのこと。私は設立の意図を説明。「漁民の子の万次郎が開国に貢献し、明治なって忘れられていく。もう一度、万次郎が学んだ米国の草の根デモクラシーを見直すべきだ」と。

 井上記者は、「実は、不破哲三委員長が記者懇で質問に答えて、ソ連の民主主義より米国の草の根デモクラシーが良いと発言して、自分は日米関係を勉強させられている。資料や情報があれば協力してもらいたい」

「私たちもこれからの研究テーマです。協力します。ところで高知選挙区の山原健二郎共産党衆議院議員も、ジョン万の会の会員ですよ」

「不破さんは、ジョン万は我々が採り上げるべきで、保守の小沢や平野に、先手を打たれたのは残念だ、と言っていた」

 この話を聞きながら、いよいよ共産党も欧米の共産主義に学ぶものが無くなり、大変化の時代に入ったと確信した。  

(続く)

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