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「日本一新運動」の原点―342

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日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇 私の「共産党物語」 27

(自由党の『新しい憲法を創る基本方針』への反響)

 

 平成12年という時期は与野党が「論憲」という立場から党内での議論を誠実に行っていた。現在(平成27年~28年)のように、自民党が狂気の憲法改悪論を展開する時代とは隔世の感がある。自由党の『新しい憲法を創る基本方針』は、朝日新聞が特ダネとして報道したために国民的話題となった。

 主な反応を紹介すると最初は社民党からで大脇雅子参議院議員が土井委員長の指示で私に連絡があった。「安全保障の基本」の項にある次の文に注目したとのこと。

「国連による集団安全保障体制の整備を促進するとともに、国連を中心としたあらゆる活動に積極的に参加する。さらに日本が率先して国連警察機構を創設を提唱する。(中略)日本が侵略を受け、国民の生命及び財産が脅かされる場合のみ武力により阻止することとし、それ以外の場合には、個別的であれ集団的であれ、自衛権の名の下に武力による威嚇またはその行使は一切行わないことを宣言する」

 

 これに関心を持ったのが、社民党のシンクタンクである「社会文化センター」のメンバー弁護士であった。年明けの平成13年1月末、13名の弁護士が自由党のまとめ役だった私を参議院議員宿舎の会議室に呼び、討論会を開いてくれた。面白かったのは私の説明が終わるや、私との討議ではなく、参加した弁護士の間で自由党案の討議となった。長時間にわたる議論の結果、司会役が賛否を数えると6対6の同数であった。司会役が賛成で社民党のブレーンも時代と共に大きく変わったと驚いたのは私であった。

 次に共産党の反応であるが、共産党自身は無視という姿勢であった。共産党支援憲法学者の興味あるコメントがある。その人物は一橋大学の渡辺治教授で、平成13年に執筆された編著書で、『憲法改正の争点―資料で読む改憲論の歴史』(旬報社・2000年3月)である。本書の『はしがき』に、「憲法改正の動きと言っても、時代によって、その意図や改正構想には大きな変化があり、その変化にはそれなりの理由もあるからである。こうした改憲側のねらいや、構想を正確に知ることは運動(護憲)にとっ

ても不可欠の前提である」とある。

 さまざまな憲法資料に渡辺教授のコメントが付されているが、当時の自由党と共産党の資料のコメントを転載し比較して見よう。

 

〇「新しい憲法を創る基本方針」(自由党・日本一新推進本部)

 

コメント・・・小沢一郎の率いる自由党が出した改憲案である。自由党は、民主党の「論憲」が方向性がないと批判してきた。また党首の小沢も九九年独自の改憲案を提示したが、これは自由党が出したものである。この改憲案は、しかし小沢のそれとは異なり、かなり独自の特徴を持っている。これはこの起草の中心に平野貞夫がいることと関係していると推測される。

 この案の具体的特徴は、以下の諸点にある。

 

 第1に、この案では、改憲の必要性が、まず日本の社会秩序の再建から説かれている点である。もちろん、国際社会の平和への貢献の必要性はあげられてはいるが、それよりも「1)日本人の心と誇りを取り戻す。2)自己中心的な社会から、規律ある自由に基づく開かれた社会に改める。3)経済の活力を回復し、誰もが生き甲斐をもって暮らせる社会をつくる」という具合に、社会統合の再建が優先させられているのである。

 第2に、この案では9条関係については、自衛権の保持より、国連の集団安全保障体制の整備とそれへの参加が強調されていることが特徴である。これは、小沢の持論であるが、小沢案では、その点はより広く規定されており自由党案と比較すると興味深い。

 第3に、この案では国会の権限の強化、首相のリーダーシップの強化による官僚支配体制の打破が強調されていることが特徴である。全体にこの案では統治機構の改革が重視されており、司法の強化、憲法裁判所の設置、地方分権の推進など、既存の自民党・官僚機構による政治体制を打破して効率的政治体制づくりが目指されている。また、場合によっては国民投票制度を導入することがうたわれている点も、同様の視点からの改革構想として注目される。

 第4に、この案では、新しい人権も強調されているが、新自由主義改革よりも社会統合の再建、国家による社会への配慮に重点が置かれている点でも、他の、現代の改憲案とは異なる特徴を持っている。教育基本法の改正、環境保全と、社会保障への国家の関与の強調などがそれである。ここには、90年代後半以降露呈してきた既存社会の統合の解体に対する危機意識が強く現れており、どちらかというとネオ・ナショナリズムに基づく改憲構想に近い内容がある。

 

 私はこの渡辺教授のコメントを読んで、共産主義者がここまで読み込んでくれたことに、ある種の感動を憶えた。小沢一郎氏に対する偏見と皮肉はあるものの、当時の自由党の基本方針を前向きに評価してくれているのだ。例示すれば「改憲の必要性を社会統合の再建に置いていること」、「既存の政治体制の打破という改革構想であること」、「新しい人権も強調し、国家による社会への配慮に重点を置き、他の改憲案とは異なる特徴を持っている」と指摘している。これに対して、平成13年11月の日本共産党大会で決議した憲法への見解を、渡辺教授はコメントしている。

 

〇「憲法を生かした民主日本の建設を」

 

コメント・・・共産党第22回大会の決議は、憲法調査会が設置されて憲法改正の動きが勢いを増している事実を踏まえ、党の憲法に対する態度を改めて確認し、憲法政策、とりわけ、9条に基づく日米安保条約の破棄と自衛隊解消について具体的道筋を検討したものである。

 第1に、決議は「当面の民主的改革」の時期のおける共産党の憲法に対する態度をこう指摘した。「日本共産党は、当面の日本の民主的改革において、憲法の進歩的条項はもとより、その全条項をもっとも厳格に守るという立場をつらぬく」。ここでは「当面の民主的改革」という限定つきであるが、憲法の全条項の厳守を打ち出しており、これと、将来にわたって守り全面実施を求めて行く5原則とを区別して扱っている点が、注目される。

 第2に、決議は、「憲法9条の改悪」を許すか否かが現在の焦点であると指摘し、これに反対するという一点での幅広い共同を呼びかけている。

 第3に、決議は自衛隊を憲法9条に違反する違憲の軍隊であると指摘したうえで、自衛隊を解消し九条完全実施へ向けての段階的政策を提言している。

 第4に、決議は、憲法の人権と民主主義の条項が現在の保守政治によって広範に蹂躙されていることを指摘し、その完全実施を主張するとともに、新しい人権も現行憲法の中で根拠付けられるとして、新しい人権挿入を口実とした改憲に反対している。

 

 この共産党の憲法についての決議は長文のもので、渡辺教授のコメントは、勉強不足の私にとって理解が困難である。第2の「憲法9条の改悪」の阻止に幅広い共闘は必要で、平成28年時点で発展している。第3の「自衛隊問題」は、15年以前の方針である。現在の自衛隊が、安保法制の違憲成立以降に問題が多い。根本的に見直すことが必要である。しかし「自衛隊を解消し9条完全実施」と教条的に拘ると野党協力の促進を妨げることになる。安全保障のあり方については、前述した「加藤周一・吉岡吉典」の主張レベル、もう一言いえば自由党理論のような柔軟性を期待したい。

 第4の「基本的人権」について自由党の提唱する「新しい人権」を批判しているが、自由党の理論は「基本的人権の保障は、国民が享有すべき条理であると同時に、国家社会を維持発展させるための公共財であると位置づける」というものだ。これは人権を国家権力と対峙させる啓蒙時代の発想から発展させようという狙いである。この理論について著名なマルクス研究者から「マルクスが発想していたことだ」と評価を受けたことがある。

 

 この機会に「憲法9条」について、基本問題を述べておきたい。護憲派の9条論は、制定プロセスと文理的解釈に教条的に拘りすぎる。もっとも重要なことは、日本人がこれを受け入れた「法源」だ。原始仏教の「生命の尊厳がもっとも大切だ」との日本人の潜在意識が9条を受け入れ護っている。欧米の論理による護憲運動から、日本人の信条の歴史を検証し、潜在意識を覚醒させる運動への展開が必要と思う。               

(続く)

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