「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―357

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              日本一新の会事務局

 

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            日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇 トランプ・安倍の「憲法違犯・首脳会談」

 

 断っておくが、私は決して反米主義者ではない。むしろ真面目な親米主義者である。我が故郷のジョン万次郎は19世紀の中頃に太平洋を漂流中に、米国の捕鯨船に救助された後、米国で近代教育を受けて帰国し、日本の近代化に尽力できた。その恩義に応えるため、万次郎漂流150年を記念して『ジョン万次郎の会』をつくった。

 米国との真の友好関係をつくるため、小沢一郎さんが会長になることに拘り、同じ志を持つ人たちの協力で『財団』として四半世紀となる。市民中心の「草の根交流」で、1年交代で両国での「草の根サミット」を催し、約5万人近い市民の交流を実現している。それを契機に米国各地に、一般市民との「心の絆」が創造できている。国と国、企業と企業の友好関係の向上も市民の友好が前提である。

 かって田中角栄さんから「米国は地球を縮小したような国だからなぁ」という話を聞いたことがあるが、まったくそのとおりだ。地球に住む人間の良いところも悪いところも、すべてを持つ合衆国連邦だ。トランプ新大統領出現に至る経過を見てもよくわかる。

 

 さて、トランプ大統領と安倍首相の関係で共通点があることをお気づきだろうか。それぞれの国の基本となる憲法に違反していることだ。トランプ大統領の「入国禁止大統領令」は、米国憲法修正第1条の「信教の自由を侵害してはいけない」、他に違反していることについて、これから憲法裁判が始まる。専門家の大勢は、トランプ大統領の敗北確実との見方だ。

 一方、安倍首相は「集団的自衛権行使容認」で憲法9条の解釈改憲を行った。これは司法制度の関係で、日本では裁判の対象にしないとの慣行で放置されている。法理として、憲法の改正手続で行うべきことは当然のこと。今後この解釈改憲に伴う安保法制が実行される段階で具体的問題が発生すれば「違憲訴訟」が提起されることになろう。いずれにせよ、トランプ・安倍会談は「憲法違犯・首脳会談」であったことを指摘しておきたい。

 仮に、米国の最高裁判所で「入国禁止大統領令」が、トランプ大統領側の敗北と決定した場合に、トランプ氏が大統領職を続けることができるか否か、大問題となろう。そんな人物に「追随外交」で、国を売る人物を讃える巨大マスコミなど、日本は大事なことで狂っている。

 

(トランプのマジックに遊ばれた安倍首相!)

 

 トランプ・安倍首脳会談について結論をいえば、トランプのカードマジック(手品)で、内外から追い込まれたトランプ大統領にも理解者がいることを世界にPRできたことだ。トランプ大統領にとっては絶好のチャンスであったようで、ネコなで声で安倍首相に接するトランプ氏の芝居がかった動きに、安倍首相ならず、日本のマスコミこぞって弄ばれたといえる。

 せっかくの会談の内容だが、レストランのメニューぐらいのものは出るだろうと思っていたが、出てきたのは〝新聞広告レベル〟で中味は皆無。マスメディアは、安保問題で「満額回答」などという報道を流しているがどうかと思う。従来の米側の方針は何ら変わっていない。選挙中にトランプが仕掛けた「脅し」に安倍政権がおののいていただけではないか。

 日米安保体制の根本は日本列島が地政的に米国を護っていることにある。巷間では米軍が日本を護る仕組みと言われるが、冷戦時代には、日本に米軍を駐留させることで米国の安全保障に役立ったのだ。さらに米国の東アジアへの影響に貢献したのだ。そのために日本はどれだけの負担と、犠牲を払ってきたか。日本安保体制は、国連憲章の目的に沿って機能すべきものと、日米安保条約の前文に書かれている。これをトランプが否定したりするのであれば、日本として国連中心の安全保障体制を考えると主張すればよい。

 経済貿易問題は、安倍首相が直接やりとりすることではない。麻生副総理とペンス副大統領で対話することになったが首脳会談の合意事項にする問題なのか、手品にもならない話だ。

 最後に、気になることがいくつかあった。沖縄の辺野古問題だ。「唯一の解決策だ」と米大統領に言う話か。日本の利権ビジネスの代弁ではないか。それと日米同盟のさらなる強化の中味だ。米国に追従してさらなる軍事大国化により、トランプの世界支配を手伝う宣言ではないことを祈る。

 


〇 日本人と『憲法9条』 5

(家康の側室「お万の方」に着目した経緯!)

 

 哲学者・柄谷行人の『憲法の無意識』(岩波新書)は、憲法を人間社会の深層心理学的立場から分析した名著である。本項で何度も述べたが、憲法九条の先行形態を「徳川体制」としたことは卓見だと思う。しかし「徳川体制」の中で、どういうプロセスで形成されたかについては論じてはいない。これから検証する課題かも知れない。

 柄谷氏の示唆を参考にして、徳川体制をつくった家康について考えた場合、家康の精神面に影響を与えたのが側室の「お万の方」であるとの情報を、平成21年ごろに知っていた。その理由は、この時期に坂本龍馬について執筆しており、江戸の千葉道場で、「北辰流」の剣術を学んでいたことばかりが知られていることに疑問を持つようになった。龍馬が千葉道場で学んだのは、剣術というより「北辰妙見法力」という、人間が生きる上での智恵というか、世渡り術であったことがわかった。

 この「北辰妙見法力」とは北極星と北斗七星を「北辰」として、信仰の対象とするものである。古代から「民衆の福寿」を実現する星信仰として、庶民から親しまれていた、家康が側室の「お万の方」から妙見信仰の影響を受けたことを知ったのは『妙見信仰の史的考察』(中西用康著・自費出版)からであった。

「家康・お万の方」の長男・頼宣は紀州藩主となり、次男・頼房は水戸藩主となる。徳川光圀こと水戸黄門は水戸藩主・頼房の子息で「家康・お万の方」の孫である。祖母の影響で熱心な妙見信仰で知られ、「民衆の福寿」を徳川体制の基本にしたことで知られている。フィクションとはいえ、「水戸黄門物語」は現在でもテレビドラマなどで、庶民の命と暮らしを守った説話として毎日のように放映されている。

 第8代徳川吉宗は、紀州2代藩主光貞の4男だから、「家康・お万の方」の曽孫に当たる。「享保の改革」で徳川体制の立て直しをしたことで知られている。吉宗も妙見菩薩を信仰し、大岡越前(大岡忠相=江戸南町奉行)とともに江戸庶民のため幕政を改革した。「暴れん坊将軍」というテレビドラマも毎日のように繰り返して放映されているが、現代の民衆の深層心理の中に徳川体制の残存が生きているからであろう。

 

(「お万の方」の出生と日蓮聖人の影響)

 

「お万の方」についての研究は少ない。その中で『女心仏心』―養珠院お万の方の生涯―(戸田七郎著・日蓮宗新聞社)から要約しておきたい。

 天正5年(1577年)、お万の方は南房総勝浦で生まれた。父は勝浦城主の正木頼忠、母は小田原北条の北条氏隆の娘で後の「智光院」である。時代は戦国の末期であったが、幼年まで無事に成長する。この勝浦は日蓮聖人の生誕地・安房小湊の浦に近く、お万の方は生まれながら、日蓮聖人の聖地の文化で育ったことが大事なポイントである。

 勝浦市に鎌倉時代から続く『惠日寺』という日蓮宗の名刹がある。現在の池内円海住職から教えてもらったことだが、お万の方は幼少から日蓮の教えを当寺で受けていたとのこと。勝浦には、「お万の布さらし」という伝説がある。これは勝浦に断崖絶壁の景勝地の口伝で、お万14才のとき、戦乱で勝浦城が落城し脱出のとき、40メートルの断崖を松の根に結びつけた晒し布を頼りに海に降り、海路小舟で房州に逃れた話である。

 この伝説をめぐって、天正8年か18年か論争があるが、それはさておき、お万の方の苦労はこれから始まるといわれている。勝浦から逃れたお万の方は、房州から離れ母方の故郷・小田原で暮らすようになるが秀吉の小田原攻め落城の中で河津城に逃れる。ここも戦場となり、お姫様の生活から流浪の身となって伊豆諸国を命がけで放浪する。その間のお万の方の気強い精神を支えたのが、日蓮の教え「法華経」と妙見信仰だったといわれる。

 奇蹟的な縁で家康と出合ったのが、文禄2年(1593年)といわれるが、その間の歴史的事実は明確でない。その後、関ヶ原(慶長5年・1600年)、徳川幕府の成立(慶長8年・1603年)と歴史が展開し、徳川家康の政治理念を変えるというか、向上させるといっても良い事件が起こる。それは、慶長13年(1608年)に発生した『慶長の法難』といわれる家康の宗教弾圧である。

(続く)

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