「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―368

            日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇 時局妙観

(「教育勅語」を問題を考える―3)

 

3)敗戦後「教育勅語」はどのように排除されたか!

 昭和20年8月15日日本は「ポツダム宣言」を受諾して敗戦となった。新憲法を制定して、民主主義国家として新しい国づくりが始まる。当然教育勅語は排除されなければならなかった。

 しかし政府は明確な措置を行わず、文部省令で教材にしないことや、式典で棒読を禁止することなどを行政措置として対応しただけであった。新憲法や教育基本法が制定され、平和主義・国民主権・基本的人権の原理で国家を運営する制度改革が次々と行われた。しかし、民主主義的な精神面の改革が十分ではなく、封建的な考え方が残り新旧の混乱が起こった。その原因は教育勅語にあった。部分的に真実性を持つ個所があり、「人間天皇」の宣言にも拘わらず「天皇神格化」が残っていて、なかなか消えない。

国際的にも問題になるし、民主化の妨げになって国家の意思として「教育勅語」の排除・失効の表明が必要となった。

 その方法として、衆・参両院は国会決議で対応することになる。第2回国会の昭和23年6月19日に衆議院で『教育勅語等排除に関する決議』、参議院で『教育勅語等の失効確認に関する決議』が、それぞれ全会一致で可決された。

 この両院での決議の歴史的意義についてほとんどの有識者が無知である。日本国憲法も教育基本法も、敗戦後の帝国議会で審議され、制定されたものだ。そこで日本の民主主義改革の原点が定まったわけだが、新憲法下の国会で国の基本原理を確認する決議は、この「教育勅語」の排除・失効の決議だけである。なお衆議院での決議案の提案理由説明で、教育勅語の内容にある真理性の文言を認める考えに対して、「勅語が持つところの根本原理は、憲法98条に副わない」として国会決議によって退けていること

が、きわめて大事なことである。

 

(「教育勅語の排除・失効両院決議」を再確認する請願運動の必要性)

 

 森友学園問題は、安倍首相に忖度した財務官僚が、国民の資産9割も値引きして払い下げたことで批判の的になている。これには権力の私的乱用とか、官僚の質の劣化とか、行政改革の不徹底などさまざまな問題がある。私が論じたい最大の関心は幼稚園児の「教育勅語」の集団暗誦の疎ましいテレビ映像である。

 平成24年12月の安倍政権の復活は野田民主党政権の消費税強行導入が直接の原因であった。その背景には小泉自公政権以来の右傾化の政治風潮があった。日本会議などの戦前回帰運動が民衆の中に拡がり、近隣諸国の人々に対する〝ヘイトスピーチ〟による排外運動などである。それを支えていた思想は「教育勅語」の復活であった。一部の教育機関や出版では、教育勅語の内容を現代に都合よく適応させる活動が盛んになっていた。

 第2次安倍政権になってからの安倍政治をひと言でいえば『教育勅語政治』といえる。教育勅語といえば「個人の思想と良心の自由」を否定し「忠君(安倍)愛国」の精神で戦争に臨むというものである。憲法9条を解釈改憲して戦争法制を強行成立させた。特定秘密保護法の成立は政府権力に情報管理を独占させ、共謀罪は、国民うけを狙って〝テロ対策〟と詐って強行成立させようとしている。

 共謀罪は、戦前の治安維持法の復活であり、教育勅語の個人の思想と良心を否定を法源とし、戦時体制に必要不可欠なものだ。東京オリンピックを大義名分としているが大いなる見当違いだ。朝鮮半島のクライシスの暴発が先になる可能性がある。マネーゲームならぬ「ミリタリーゲーム」に変質した現代資本主義社会で、トランプ米大統領のお先棒を担いでいると、太平洋戦争で中止となった東京オリンピックの二の舞になりかねない。

 考えてみれば、沖縄辺野古などの基地問題や原発再稼働・推進問題。アベノミクスによる格差拡大、さらにお友だちの学校法人に公有地を無償として税金をくれてやる政策も、教育勅語の一環と思えばわかりやすい。これに対抗するためには、「教育勅語の排除・失効両院決議」の再確認をする国会請願運動が必要である。これに国会が応じないなら、日本の議会政治は死滅したといえる。

                           (終)

 

〇 資 料

 

敎育ニ關スル勅語

 

朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世々厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國軆ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ學ヲ修メ業ヲ習ヒ以テ智能ヲ啓發シ徳器ヲ成就シ進テ公益ヲ廣ノ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重ジ國法ニ遵ヒ一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン

斯ノ道ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ

明治23年10月30日

御名御璽

 

〇 第2回国会 昭和23年6月19日 衆議院本会議

教育勅語等排除に関する決議

 民主平和国家として世界史的建設途上にあるわが国の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは教育基本法に則り、教育の改新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となっている教育勅語並びに陸海軍軍人に賜わりたる勅諭その他の教育に関する諸詔勅、今日もなお国民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、従来の行政上の措置が不十分であったがためである。

 思うに、これらの詔勅の根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すものとなる。よって憲法第98条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。

 右決議する。

 

〇 第2回国会 昭和23年6月19日 参議院本会議

教育勅語等の失効確認に関する決議

 われらは、さきに日本国憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失つている。

 しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを懐く者あるをおもんばかり、われらはとくに、それらが既に効力を失つている事実を明確にするとともに、政府をして教育勅語その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。

 われらはここに、教育の真の権威の確立と国民道徳の振興のために、全国民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力をいたすべきことを期する。

 右決議する。

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