「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―370

日本一新の会・代表 平野 貞夫妙観

 

〇 時局妙観

 5月14日(日)、東埼玉百人委員会・FB憲法9条の会主催の「連続市民講座」に招かれ、越谷中央市民会館で講演する機会があった。越谷市で政治集会に出たのは旧自由党参議院議員時代でおよそ20年ほど前だった。ずいぶんな変わり様でびっくりしたが、もうひとつ驚いたのは、長野県小渕沢からわざわざ私の話を聴きに参加してくれた婦人がいたことだ。日本の政治がどうなるか、暮らしの中から真剣に心配していた。以下、講演の要旨である。

 

(「日本の危機と共謀罪」)

1)時局雑感 国の内外で大事件が続発しているが、5月8日の衆議院予算委員会で、長妻氏(民進党)が、安倍首相の正常性を疑う「憲法改正発言」を追求。安倍首相が「読売新聞を熟読しろ」と答弁した問題の処理に絞って、満身の怒りをもって〝国会の脳死状態〟に抗議しておく。

 この発言は首相の答弁義務(憲法60条)を冒涜するだけではない。最高権力者たる総理が読売新聞の広告塔になり、マスコミ・マフィアのドンに支配されることを国民に公開した。しかも「熟読せよ」と質問者の能力を疑うように強要したことは重大問題だ。これは「侮辱」どころか人権の侵害といえる。さらに言えば長妻氏個人の問題ではない。国民の代表者という立場から国会への侮辱である。それは憲法の国民主権原理への冒涜といえる。

 この問題が国会でどのように処理されたか検証すると、現在の国会議員たちが議会政治の根本機能を理解していないことがわかる。野党側は安倍首相の発言の撤回を求め、問題は衆議院議院運営委員会での与野党協議となる。議運理事会に萩生田官房副長官が出席して経過や事情を説明する。この説明を野党側は「謝罪」と理解し「安倍発言の撤回要求」を「撤回」してしまった(朝日・5月12日)。

国会は正常化し、法務委員会の「共謀罪法案」の審議は再開された。私の怒りが収まらないのは、野党側の稚拙な対応が、結果として「安倍一強」をつくっていることだ。

 国会法120条には「議院の会議または委員会において、侮辱を被った議員は、これを議院に訴えて処分を求めることができる」と規定している。この運用については『衆議院先例集』に手続が書かれている。平成8年4月の衆議院議院運営委員会で、新たな処分要求の取扱いを決定している。それによると発言の取消などの処置を特別委員会を設置して審査することができることになっている。

 この方法で安倍発言を追求すれば、後半国会のイニシアティブを握れたはずだ。何故この方法を選ばなかったのか。気がつかなかったとか、知らなかったで済まされないことだ。それは民進党の性格による。要するに安倍発言「読売を熟読しろ」を、国会や国民を侮辱したものではないという判断があったからだ。単に不適切な発言という程度に考えていたことによる。なる程、司法試験レベルの法知識ではこうなるだろう。憲法を中心とする国会議事法規をこのレベルでしか考えない弁護士国会議員の影響によるものだ。

 国会議事法規というものは手続き法だけでできているのではない。大事なことは「戦時国際法」のような性格をもっているのだ。「頭を叩く代わりに頭を数える」という議会政治は、議事法規をめぐる「人間知力の闘争」なのだ。国会の機能の根幹を侮辱したと、どうして発想しないのか。こんなところに、民進党を中心の4野党の人間集団として幼稚さがある。

 私が事務局にいた時代は党より国会の権威を大事にする政治家が与野党にいた。この人たちに職を賭けて問題の本質を訴えると対応してくれた。現在の情況ではとても無理だろう。こんなところに、国民から国会の信頼を失う原因がある。

 

2)「共謀罪法」は戦時国家への総仕上げ

 国会審議や有識者マスコミ論調をみると「監視国家化」「自由の死滅」等々がある。その通りだが、何故「戦時国家への総仕上げ」と論じないのか。その論理なしに廃案にすることは不可能だ。平成25年から始まった「戦時国家への道程」を4野党の政治家も、日頃りっぱな発言をしている有識者もわかっていないようだ。

 平成26年の「集団的自衛権の容認」を憲法九条の解釈改憲で強行して以来戦時国家へのハード面の整備が急速に固まっていく。翌27年には自衛隊の海外派兵を含む「安保法制」が強行成立した。これで国民投票で決めるべき憲法改正の手続を経ず戦時国家のハードウエアは事実上修了だ。しかし、これだけでは戦争はできない。

 戦時国家として何時でも活動できるようにするには、ソフト面の整備がいる。まず国民の知る権利を制限する情報管理が必要だ。戦時国家の秘密を保持することが条件となる。それは平成25年の暮れに成立している「特定秘密保護法」である。それだけでは十分ではない。国民は政府の意思に従って。戦時体制に協力することが必要である。当然に政府に抵抗する人々が出現する。そのために犯罪が実在しない段階で捜査や拘禁して、戦時体制に国民を強要する必要がある。そのために東京オリンピックを口実にして「テロ対策」と偽って共謀罪を企んだわけだ。

 

3) 共謀罪の本質

 共謀罪とは組織(2人以上)が、特定の犯罪について実行の前の共謀(相談・陰謀・準備・計画等)したことを犯罪として捜査できるようにすることである。日本国憲法は、戦前の治安維持法の共謀罪が、思想・良心の自由を否定して戦時国家となったことを反省し、第30条から40条に至る世界に誇る刑事・裁判規定を設けた。これは当時の金森憲法大臣が自己の体験をもとに共謀罪をつくりにくくするために立案したといわれている。

 しかし、特殊で重大な犯罪では例外がある。内乱罪や強盗罪などで、現行では23件ぐらいが対象になっているが、専門家から、先進国として適切なバランスと言われている。それを「テロ対策」として、277の法律に共謀罪を適用できるようにしようという政府案は、憲法違反以前の問題だ。

 テロの準備に対応するもので共謀罪ではない、と政府は嘘をついている。国連総会で決めた「パレルモ条約」を締結してテロを含む国際的犯罪組織を防止するためと安倍首相は国会で発言しているが、「パレルモ条約」は、テロ対策ではなく麻薬や密輸などマフィアの利益目的の犯罪を取り締まるためでテロ対策のためでないと、国連で立案した専門家は朝日新聞の取材に答えている。(5月5日朝刊)

 政府の狙いが戦時国家への総仕上げにあることは間違いないが、成立すれば直ちに影響が出るのは、政府の暴政と闘っている「辺野古等」沖縄基地問題、そして現在、市民運動にとって欠かせない「ネットの世界」が狙われ、大混乱となるだろう。

 

4)究極の共謀罪は治安維持法、その法源は「教育勅語」にあり!

 戦前の治安維持法の制定・運用の歴史を知れば、今回の「テロ対策」と称する共謀罪の正体を知ることができる。直接の動機は大正11年に共産党の非合法組織に対応するためだ。同14年に「普通選挙法」と取引して成立した。要点は「天皇制の廃止と私有財産制を否定」する二つの行為の協議・計画・煽動等を犯罪とすること。現在の277の犯罪と比べ初期の治安維持法は法理論としては筋が通っていた。

 ところが昭和に入り、軍部や官僚が天皇を利用して政治を牛耳るようになると議会の審議なく勅令で死刑の設置など改悪を断行。その後拡大解釈や乱用により、「思想や良心の自由」を制約し、満州事変など戦時体制をつくっていく。それを国民が受け入れる背景に『教育勅語』による思想や信教に対する強要があった。

 昭和9年に発行された『教育勅語の話』では、「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉シ・・・・」の説明に、「もし戦争が起こるとか、その他、国に大事件の起こった時には命を投げ棄てて、天皇陛下の御ためにつくし・・・・、まごころからご奉公申し上げなければなりません」とある。

『教育勅語』発布は「教育」の名目で、明治憲法で発足した議会政治を自由民権や啓蒙思想で混乱させないための国民に対する道徳律の強要でありこれが共謀罪の法源だ。 敗戦後『教育勅語』は文部省令で廃止されたが、民主化に馴染まない国民に新憲法の基本原理(平和・国民主権・基本的人権)を啓蒙する必要があった。そのため第2国会に衆参両院で「教育勅語等の排除・失効等の国会決議」が行われた。現在の「安倍一強・教育勅語政治」を打破するため、両院決議の再確認が必要ではないか。戦前の朕は「天皇」だったが、戦後の朕になろうとする「安倍」を、このまま放置して良いのか。 

             (「国会つれづれ」は休みました)

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