「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―56

日本一新の会・代表 平野 貞夫

 

     日本をメルトダウンさせてはならない!

 

(情報の隠蔽と工作は犯罪行為だ) 
 
 連休中の5月6日(金)、菅首相は突然の記者会見で「浜岡原発の全面停止」を、行政指導として中部電力に指示し、多くの国民から喝采を受けた。これで連休後の政局のイニシアチブを握ったかに見えたが、これが偽の「脱原発論」だとわかり政局浮揚に効果が薄いとの雰囲気が漂い始めた。それを待っていたかのように5月15日(日)、東京電力は世界中が「ヤッパリ」と驚く事実を発表した。

 福島第1原発の事故で、1号機は大震災の5時間後燃料損傷が始まり、16時間後にメルトダウンしていたということだ。さらに、その後の報道によれば第2号、第3号機もメルトダウンしている可能性が強いということだ。専門家の一部には、第3号機が「再臨界」の可能性も否定できないとの主張もある。私に届いた東京電力関係者の内部情報によれば、4号機にも問題が多く「千数百本の燃料露出による水蒸気爆発などの可能性」があるとのことだ。

 東日本大震災の復旧が進み出したとか、復興構想が必要になったという菅政権のパフォーマンスと、それを垂れ流すメディア。何を考え、どこを見ているのか言語道断である。放射能からの避難命令に生活手段を奪われた被災地の人々、日々拡大する農業や漁業への被害、大震災と菅政権の人災により日本国は以前より増して危機に瀕しているといえる。原発事故以外でも、被災後70日も経て、11万人を超える被災者を緊急避難所に放置し、悪性の肺炎で災害関連死が急増している悲劇を見るに、これは棄民だといえる。菅政権が大震災に対して機能していないことに腹が立つ。

 東京電力が5月15日(日)に発表した「第1号機はメルトダウンだった」という情報は、予想されていたとはいえ、菅政権にとって致命的な打撃であった。事故発生直後から「安全」を菅首相が言明していたからだ。翌日の衆議院予算委員会の集中審議での菅首相の狼狽ぶりを見ていればわかる。この情報は、菅政権が初動対応を誤っていたことを証明するものだ。米国をはじめ国際社会は当初から日本国政府が情報を隠蔽し工作したことを厳しく批判していた。恐らく東京電力は第1号機のメルトダウンの情報を、菅首相から公開しないよう指示されていたと思う。

 菅政権と東京電力の間に緊張関係があるのは当然である。しかし、敵対的な関係であってはならない。理由は人災といわれる事故が拡大中で、それをどう防ぐかという重大な危機が続いているのだ。「情報の隠蔽と工作」は菅政権に責任がある。正確に情報を公開することが、国際的協力を得て大災害を適正に収拾するための鉄則である。それを自己保身・政権延命のために行わず、あるいは工作した菅政権の行為は犯罪といえる。いずれ法的問題が提起されると思う。

 東京電力のやり方や在り方については、私を含め多くの人々は言いたいことが山ほどある。今、もっとも大事なことは、東京電力をはじめ専門家を活用して非常事態が続く原発災害を食い止め抑え込み、国民と国際社会に安心して貰うことである。そんな時期に菅政権のやっていることにはあきれるばかりだ。東京電力の社長を外部から起用する情報を流したり、電力会社側がもっとも嫌がる「発電と配電の分離」を菅首相自身が記者会見したりする。この他にも民主党内の議論もなく「原発中心のエネルギー対策を白紙化し見直す」との発言があった。これは大事なことであり、実現して貰いたいことだ。

 しかし、菅首相の本音は国民受けを狙った、責任逃れの延命策であることは明かである。この非常事態=戦争に最前線で戦っている部隊の戦意を失わせる愚かなことだ。もう一言いわせて貰えば、これらはさらなる「情報の隠蔽と工作」の責任を東京電力に負わせるためであり、菅政権への批判を躱すための話題づくりである。問題発言を繰り返し福島第一原発の対応ミスから、責任回避を狙ったものだ。エネルギー政策や電力産業の基本問題は、国民的議論の中で決めることで、菅首相の思いつき発言がかえって改革を妨げることになる。

 3月下旬、私は「非常事態対策院」を挙国体制でつくり、菅政権を緊急事態が収まるまで支える構想を実現すべく活動していた。この時知った話だが、この構想を仙谷官房副長官に説明し協力を求めた人物が、「どうせ在日韓国人からの違法献金問題で引責辞任となる。挙国体制でひと息ついた時点を花道に退陣する方が本人のためだ」と言ったところ、仙谷氏は「違法献金より、どのみち原発災害対応で責任をとらざるを得なくなるので、この構想で菅首相を説得してみる」と語って理解を示したとのこと。この話を聴いて、原発問題で菅首相自身、重大な情報の隠蔽と工作を行い、判断ミスをしていると確信した。

 東京電力の福島第1原発第1号機のメルトダウンに始まる情報公開は、菅政権との敵対的緊張関係を深めていくであろう、それが菅政権崩壊の要因になっていくと思う。菅首相も東京電力も、自分の保身を前提にしていては、原発のメルトダウンだけでなく、日本国のメルトダウンにつながることになる。これを避けるために何をすべきか。大震災への対応をここまで混乱させ、被災を拡大させている菅首相の退陣しかない。

(目に余る日本政治のメルトダウン)

 本稿執筆中に西岡武夫参議院議長が、読売新聞に寄稿した「菅直人内閣総理大臣殿」という文章を読むことができた。「菅首相は法律を無視している」「情報の隠蔽と工作」など、六項目にわたって大震災・原発対応を巡って、菅首相にそれらを処理する能力はないと具体的に論じている。そして、サミット首脳会議前に、野党が衆議院に内閣不信任決議案を提出すべきと断じ、政治家・西岡武夫として、菅政権を誕生させた責任を感じ断腸の思いだと、絶叫している。

 私は西岡議長とは50年に近い親交があり、10年間にわたり同志として政治活動をともにしてきた。最長老の議会政治家としての思いに全面的に賛同するものである。しかし、この西岡参議院議長の論旨を理解する国会議員が何人いるか、私はほとんどいないと断じておく。理屈で分かっていても行動できる政治家はほとんどいない。

 西岡参議院議長は「国会議員が党派を超え、この大震災と原発事故が、少なくとも、子供たちの未来に影を落とすことのないよう、身命を賭して取り組まなければなりません」と、国会議員への呼びかけで寄稿文を結んでいる。この呼びかけに何人が応えることができるのか、多くを期待できない。その理由は、日本政治全体が福島第一原発と同じように「メルトダウン」を起こしているからだ。

 政治のメルトダウンほど恐ろしいものはない。大震災後、何度か衆参両院で政府に対する質疑が行われているが、問題の本質を突く質問が少ない。さらに、国会としての意志がまったく示されていない。西岡参議院議長が何回か菅首相を叱責する発言を行っている。この当然の主張を参議院の意思、すなわち国会決議をして、国民に提示することをどうして行おうとしないのか。方策はいくらでもある。

 首相問責という政局問題ではなくとも、例えば、原発の「情報の隠蔽と工作」問題などは、真実を国民の知らせるのは政府だけではなく、国会にも責任があると、なぜ考えないのか。もっと問題があるのは、横路孝弘衆議院議長だ。この国難にひと言もコメントしていないことだ。衆参両院議長が政治的良心をひとつにして、国を挙げて大震災に対応する姿勢を示し、菅首相を叱責すればこんな事態は避けられたはずである。

 菅政権が実質的に民主党政権でないことは前回論じたとおりだ。現在の民主党も議会政治を担う政党ではない。さらに、自民党に至っては、相変わらず政権交代の恨みを小沢一郎氏に持ち続ける小児的政治家が多く、国難に正面から立ち向かう志のある政治集団ではない。

 国会もメルトダウン直前だ。世代交代と粋がっているが、本当に智恵のある政治家はいないのか。

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