「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―65

日本一新の会・代表 平野 貞夫

 

○ 国益と政治の劣化原因は、「検察・メディア」が
                              捏造した「小沢排除問題」にあり!(2)

 

○『小沢一郎完全無罪』(講談社+α文庫)まえがき

           〝小沢問題による国家機能のメルトダウン〟(続)

 

 2011年6月2日、衆院に「菅内閣不信任決議案」が提出され、可決確実と追い込まれた菅首相が選んだのは、鳩山前首相を取り込んだ茶番とペテンの「籠脱け詐欺」であった。不信任案が否決された首相が辞任に追い込まれるという世界の議会史にない珍事が起こったのだ。菅・鳩山確認書には、冒頭に「民主党を壊さない」「自民党政権に逆戻りさせない」とある。大震災で困窮する人々、放射能の恐怖で立ち往生している人々を無視して、二人ともそんなに民主党が大事なのか。国民の生命を守るために必要なら、政党などこわしてもいい。そんな発想のない政治家は直ちに引退すべきだ。

 一方、小沢一郎はというと、事あるごとに「お天道様は見ている」と呟いている。

 

 このような状況の中で『小沢一郎完全無罪』が文庫本として刊行されることは、きわめて意義のあることである。私の主張が、司法・検察の問題点を摘出したものであることをよく理解してもらいたい。

 実は私も反省しなければならないことがある。それは、本書では検察批判が中心であったが、日本の社会を蝕んでいるのは検察だけではないことに、「小沢問題」を通じて気がついたからである。日本社会の基本問題について私の見方に大きな欠陥があったのだ。

 「小沢問題」を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に「新しいファシズム」が展開しはじめたということである。「ファシズム」の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、独裁的政治を展開する」ということだ。

「暴力装置を使った政治など、日本では行われていない」という異論が出てこよう。しかし、よく考えて欲しい。情報社会での暴力装置は、必ずしも物理的暴力装置だけではない。社会心理的な暴力装置というものもある。21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。繰り返しになるが、「小沢問題」での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された「事実」が次から次へと報道され、その異常さは「社会心理的な暴力」といえるものだった。小沢がインターネットのメディアと、記者クラブに属していないジャーナリストたち、たとえば上杉隆氏が代表を務める自由報道協会を通じてしか発信しないのも宜なるかな、である。

 2009年3月の西松事件は、麻生太郎自民党政権の関与なしには考えられない。大久保秘書逮捕の2日前の3月1日に、私は当時の森英介法務大臣から小沢排除を予言するかのような暴言を直接浴びせかけられていた。麻生首相は、何としても民主党への政権交代を阻止したかったのであろう。大久保秘書逮捕だけでは効果がなく、次に仕掛けたのが「郵政不正事件」での石井一民主党副代表問題であった。その結果が、村木厚子厚労省元局長の冤罪事件である。

 国民が民主党に政権を交代させるという歴史的決断をしてから、何が起こったのか。検察と大手マスコミは、国民の選択を無視するわけにはいかず、せめて小沢一郎に民主党政権のイニシアティブを持たせないようにしたのである。民主党内にも、それに同調し「小沢排除」に躍起になっている輩もいた。鳩山由紀夫首相が間に立って迷いに迷う。その結果、「政策の協議決定に関わらない幹事長」という、歴史的失笑に値する役に小沢は就くことになる。

 その直後、特別国会のあり方について小沢から相談があったので、「マニフェストの基本に主要な党役員は閣内で職責を果たすとある。政策の協議決定に参加しない与党幹事長では、議院内閣制は運営できない」と答え、民主党政権は長く続かないと指摘しておいた。案の定、鳩山政権は1年ももたなかった。ところが、小沢が渾身の思いで誕生させた菅直人首相は、前述の通り、こともあろうに最大の恩人である小沢の「政治と金」を、意図的に、虚言をもって国民に訴えて、「小沢排除」を断行した・・・・・・。

 そして、内閣や党の要職に、とかくの話題を持つ弁護士政治家を起用した。東京地検特捜部が、二度にわたって不起訴と決めた小沢に対し、検察審査会は、法令どころか憲法に反する結論を下し、小沢を強制起訴へと追い込んだのである。事実を見分けようとする有識者のなかには、この動きに政治権力の影響があったとする見方が多い。

 驚くべきことはそれだけではない。民主党執行部が、強制起訴される小沢に、政治倫理審査会に出頭するよう強要したのだ。弁護団の意見もあり、裁判過程に入ってからの出頭に時期的注文をつけた小沢を、こともあろうに「党員資格停止」とし、その期間を党規約に違反して「裁判終了まで」と強行決定した。党として事実関係を調査したうえならともかく、大手マスメディアの捏造報道だけを根拠にである。その狙いは菅首相が退陣した場合、代表選挙に出馬できないようにするためであった。野党の多くは不見識にも国会での証人喚問を要求した。

 このわが国の議会制民主主義の実態を、なんと考えるべきであろうか。これを私は「新しいファシズム」と定義づけたい。「小沢問題」は、社会心理的な暴力装置となった大手マスメディアを、当初は検察が、次に菅政権が、そして与党民主党、さらに国会全体が利用して、議会制民主主義の基本である国民の代表である国会議員の基本権を奪い取ったのだ。

 「新しいファシズム」は、本来、独裁的権力に抵抗すべき政党や議会が、率先して議会制民主主義基本原理を侵していることを特徴としているのだ。それにほとんどの国会議員や有識者が気づいていない。東北地方を襲った巨大地震と同じような同じような恐ろしいことが、日本の社会で起こっている―。

 

以上が、文庫本まえがきの全文である。

 7月12日(火)、東京地方裁判所は陸山会事件をめぐる政治資金規正法違反問題について、調書の多くを不採用とした決定に対する検察側の異議申立てを棄却した。再申立てはできないため、不採用が確定した。これらの不採用の調書が、第五検察審査会の小沢氏強制起訴の根拠であったため、「小沢問題」は事実上、捏造事件であったことが明らかになった。

 平成21年3月の西松事件以来、当時の麻生自民党政権から始まった「小沢排除」の政治捜査とマスメディアの社会心理的暴力行為は民主社会を崩壊させるものであった。さらに、最大の問題は、国会がこの事件に対して「小沢排除」に終始したことである。国会議員の基本権を守るべき国会の大勢が「検察ファシズム」に同調していたことが国会崩壊に通じるといえる。

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