「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―67

日本一新の会・代表 平野 貞夫

 

 7月29日(金)、私が顧問をしている「志信会」(会長・大西信弥)の総会が東京で開かれ、「脱原発とエネルギー問題」で話をした。時の問題でもあり、以下にその要旨を転載するのでメルマガ会員諸氏のご意見をいただきたい。

 

○脱原発とエネルギー問題

(田中元首相の思い出)

 田中角栄さんが、昭和49年に首相を辞めた直後だったと思うが、前尾衆議院議長の用事であったとき、こんな質問で困ったことがある。

「平野君、東京電力と東北電力でつくる電気で、質の違いがあるがそれがわかるか」と。「わかりません。そんなことあるわけがないでしょう」と答えると、「まだ勉強が足りないぞ」と叱られ、その後ずっと気になっていた。

 私が参議院議員となって、新進党時代の勉強会(平成8年頃)に東北大学学長を務められた半導体の世界的権威者・西澤潤一郎博士を招いたことがある。講演が終わって誰か質問しろということになり、司会者が私を指名した。丁度よい機会と思い、田中首相から「勉強が足りない」と叱られた「東京電力と東北電力がつくる電気で、質の違いがあるか」と質問してみた。

 西澤博士の答が勉強になった。「さすが角栄さんだ。最近の先端科学技術は、それに関わる人間の精神性や倫理性によって、製品の質に微妙な差が出る。例えば半導体の優れた製品は、儒教文化社会の日本・韓国・台湾で仕上がり率が高い(当時中国は先端技術は後進国だった)。その原因は電気の質にある。先端技術というものはそういった目に見えないもの、人間の心理的なものの影響を受ける世界なのだ。角栄さんは天才だ」という話だ。

 この時、思い出したのは、昭和55年頃衆議院科学技術委員会担当課長時代に、四国の伊方原発を視察に行った時のことだ。所長との懇談で私が、「原発で事故が発生する場合、回数の多いのは何か、原因と対応はどうしているか」と質問した。所長は「技術面では100%とは言いませんが、事故を起こさない自信があります。事故が発生するとすれば、原発に関わる人間の過信・怠慢・油断・傲慢などが原因です。そのため人間の教育を徹底的にやっています」と答えてくれた。

 田中角栄さんの話、伊方原発所長の話といい、昭和時代にはこういう心情で生きる指導者たちが数多くいた。それに比べ平成時代になって、世の中の指導者たちのほとんどがフリーズ多発のパソコンに似て、人間の思考をしなくなった。その代表が菅首相といえる。

 

(私とエネルギー問題)

 平成6年6月に非自民連立政権が崩壊して、村山・自社さ政権ができた頃、ある会合で宮沢前首相と田中秀征企画庁長官(当時)と顔を合わせたことがあった。その時2人に「永田町の鯰がいる。この次はいつ地震を起こすのか」と冷やかされたことがある。世間では、今でも私のことを〝永田町の嫌われ者〟と思っている人が多いが、実は私は「エネルギー問題」ではそれなりの見識を学んでいると自負している。

 衆議院事務局に勤めて2年目にした仕事は、昭和36年頃の「石炭対策委員会」だった。石炭から石油にエネルギー転換する社会の激動を石炭合理化で体験した。昭和48年の石油ショックの時期には、前尾衆議院議長秘書で、石油外交でエジプトやクエートなどを議長のお伴で訪問し、石油問題の深刻さを勉強した。昭和55年頃は科学技術委員会担当課長で、原発問題を中心にエネルギー資源の確保を勉強した。ソーラー発電が実用化した頃で、つくば科学博の正面に京セラのソーラー発電でネオンを付けるアイデアは私が提案したものだ。

 平成4年の参議院選挙に高知地方区から出馬したときには、室戸の海洋深層水の温度差を活用して発電する構想を専門家から教わり、地元を啓蒙したが失敗した。参議院議員となってから、原発行政の改革の勉強会を立ちあげ、現在のウラニウム原発の危険性、特にプルトニウムを使用する「もんじゅ」や「プルサーマル」の廃止を訴えてきた。そして研究中止となっている「トリウム溶融塩炉」原発が、安全性からも安い経費でつくられることからも日本に適切で研究再開をすべしと運動をやっていた。「トリウム原発」は、プルトニウムを発生させず焼却することができるので、日本が核武装しないとの宣言になること。テロリストが手に負えないこと。米国やロシアでも核弾頭のプルトニウムを焼却させるため研究を再開した。

 平成15年1月には、参議院本会議の代表質問で、日本付近の海底に埋蔵する「メタンハイドレート」(メタンガスが氷状になったもの)の開発促進を取り上げた。平沼通産大臣が「平成28年(2016)までに商業化する」と答弁して話題となった。メタンハイドレート問題を本会議の代表質問で、テレビ中継したのはこれが初めてで注目された。

 これにはおまけがついた。4ヶ月後、祥伝社から『燃える氷』という書物が出版された。日本周辺に分布しているメタンハイドレートを採掘すれば、地震を誘発し日本を沈没させることになるという小説であった。石油業界はじめ、エネルギーの国内確保を阻止しようとするグループの謀略であったと思う。

 

(エネルギー確保の中長期計画の策定)

 平成19年の参議院議員選挙の頃、高知県東洋町でプルトニウムの燃えかす(ガラス固形化したもの)の埋蔵を引き受けることを、町長が了承し住民投票が行われた。私が民主党高知県連代表の時であり、反対運動を行い住民も許さなかった。この時、私たちは「反原発だけでは国民生活の向上が実現されない」という考えで、エネルギー確保のあり方について中長期計画を策定することになった。

 問題の中心は「原発のあり方」であり、原子力の専門家から意見を聴取し、次の構想をつくった。

     現在のウラニウム原発は安全性に問題があるものから可能なかぎり早期に廃炉とし、20年~30年間で全廃する。トリウム溶融塩炉の開発を直ちに再開し、10年以内に実用化する。ウラニウム原発からトリウム原発に順次移行させ、30年以内に原発はトリウム原発を主力とする。

     その間、石油による発電も残るので、CO2対策もありメタンハイドレートなど天然ガスの確保や活用を積極化させる。自然エネルギーの開発促進など、国内でのエネルギー確保を最重点政策とする。

     核融合発電が実用化できるのが、60~70年後と想定して、その間、エネルギー確保は①から②の他、従来の水力・火力を先端技術により改良し、経済産業の供給に応えていく。

 というものであった。

 平成19年の参議院選挙でエネルギー確保の中長期計画をマニフェストに入れるべきだと思ったが時間がなかった。取り敢えず「原発行政の改革として、トリウム原発の研究再開」を入れるべきだと小沢代表に提案したところ大賛成で、菅代表代行を説得するよういわれ説明したところ、「トリウム」という用語も知らず、聞く耳を持たなかった。

 

(当面の問題)

 菅首相の「脱原発・太陽光発電活用」論も方向性はよいとして、具体的構想がないところに、無責任さと延命策の嗅が強い。太陽光発電を健全に発展させるためには、保全やメンテナンス技術の向上と基準がなければ不可能である。

 私たちは、社団法人「太陽光発電保全協会」を8月に設立の予定である。発起人で日本学術振興会の次世代太陽光発電システム第175委員会に所属している東洋メカジェニック工業の国府田代表取締役に、「太陽光発電の現状と今後」について、私の話の後、志信会の諸君のために話をしてもらうことにする。

 以上が志信会総会での私の話の要旨である。

※当論説への異論・反論は、http://nipponissin.blog109.fc2.com/掲示板へお願いします。

(事務局)

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