「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について議論する広場」

「日本一新運動」の原点―71

○雨月物語に終始した民主党代表選挙

 8月27日(土)、テレビ東京の「週刊ニュース新書」に出演した。ベテランジャーナリストの田原総一朗氏と田勢康弘氏に挟まれて、いささか緊張した。話題は当然「民主党代表選挙」だった。

 田原、田勢両氏とも、小沢一郎氏が支持を決めた海江田候補が優勢との雰囲気の中で、私は「厳しい状況だ。選挙とはなんであれ、やってみないとわからない。政界は雨月物語だから・・」と言っておいた。

 さらに、これからの政治にとって一番大事なことをボードに書くよう指示されたが、田原氏は「政界再編」、私は「民主党と自民党の建設的解体」と書いたが、2人で事前調整をしたわけではない。私は直感的に、今回の代表選が、民主党解体の引き金になると思ったからだ。

 憲政の常道論からいえばこの代表選は無効といえる。何故、菅首相が辞めるのか、政権運営と政策の行き詰まり、何より大震災・原発問題の破綻責任は重大だ。従って代表選の前に菅内閣の総括を行うべきだと、このメルマガでも繰り返し述べてきた。これが代表選の前提条件である。これから逃げた岡田執行部も許せないが、それを強く要求しない民主党国会議員も政治の基本を知らない。もっとも、本来なら政権を第二党たる自民党に渡すというのが「憲政の常道」だが、これを迫らない自民党も「ネズミを捕らない猫」になったらしい。理屈はさておき、今回の代表選挙がどんな実態であったか総括してみる。

 

(財務官僚が野田首相実現に政治干渉)

 代表戦の3日前、某出版社の編集者から電話があり「財務省の役人が、野田候補の支援で動いている話がある。現職官僚の政治干渉を許してよいのか」とのこと。私が議会政治史を執筆中であることは前回書いたが、その渦中でもあったから「そんなことは明治以来絶対にない」と反論しておいた。ところが、代表選当日の夕刊紙に驚くべき記事があった。

  ジリ貧だった野田候補が投票直前に盛り返した。何かあったのかと

 思ったら、やっぱり、ウラで財務官僚が動いていた。小沢グループの

 若手議員が言うには、

  「たしか菅首相が退陣表明した当日でしたが、旧知の財務官僚がふ

 らりと事務所に来て、『先生がご執心のあの案件、予算がつけられる

 方向でやりたい』なんていうんです。『野田さんなら、この予算の必

 要性がわかる』とか、『そのためにはマニフェストの見直しはやむを

 得ないところも・・・・・』とか、暗に野田支持を呼びかけてきた。

 他の議員のところにも、同じような誘いがあったと聞いています」。

 何としても増税派の野田候補に勝ってもらいたい財務省が、予算を人

 質に他陣営の切り崩しにかかっていたのだ。・・・・税金で釣るとは、

 絶句である。」

 というものだ。ここまで具体的な話なら真実であろう。財務官僚も、いよいよ憲法政治から食み出し、化物になったのだ。ここまで財務官僚をのぼせ上がらせた民主党政治家の責任は重大だ。この問題は国会はもちろんのこと、社会的にも徹底的に究明されなければならない。

 財務省がつくった野田首相となれば、マニフェスト違反どころでない。議会民主政治を崩壊させるものだ。国民に多大な犠牲を強いて、未曽有の国難を創りだした戦前の陸軍と同じといえる。

 

(決選投票と機密費の話)

 
 決選投票が終わり、野田氏勝利のテレビ映像があふれ出したときに、おやっ!、と思ったのは菅首相の喜びにあふれた顔だった。まるで自分が当選したように嬉しそうであった。あの表情には何かある。もしかして「官房機密費」を使ったのでは?、というのが議会事務局歴33年、参議院議員歴12年の直感である。

 同日夜、鹿野陣営の関係者から電話があった。冷やかしに「菅首相の嬉しそうな顔を見ていると、機密費を使った感じだが?」と聞いてみた。すると、相手は笑いながら「官邸関係議員が、20万円入った封筒を配ったという話ですよ。それにしても民主党国会議員は随分安く見られたものですね」と、如何にも現場を見たような話が返ってきた。仮に噂話でも、ここまで具体的なら検証しなくてはならない。退陣表明後の機密費の使い方については、麻生政権の時も問題となった。

 

(野田票の215人に問題あり)

 
 昨年の代表選に続き、巨大メディアは「小沢叩き」を徹底してやった。小沢氏の政治的復権を、如何に巨大メディアが恐れているかを国民は冷静に見ていた。小沢氏を悪者に仕立て上げた巨大メディアの助成をうけて野田氏は代表になれたといえる。財務省と巨大メディアが創りだした野田政権だ。国民の犠牲が多大になることを危惧している。

 かつて私はこのメルマガを通じて、平成21年以降、小沢氏の西松問題を、日本の政治は「新ファシズムだ」と定義したことがある。政治権力が「軍事力等暴力装置」を使って議会民主政治を崩壊させるというのが、20世紀のファシズムの定義だった。「新ファシズム」とは、政治権力が巨大メディアの「社会心理的暴力装置」を使って議会民主政治を崩壊させることだ。

 議会政治を行う国会は、ファシズムと闘うことを究極の目的とするが、現在の民主党は社会心理的暴力装置の手先となって、自ら議会政治を崩壊させているのだから悲劇的である。

 小沢一郎氏の「政治と金」は、7月上旬、東京地裁が陸山会事件の石川議員の、検察調書の重要部分を証拠として採用しなかったことで実質的に決着したといえる。小沢氏の検察審査会による強制起訴は、菅政権が絡んだ政治的謀略であった。それにもかかわらず、今回の代表選の中で巨大メディアは小沢氏を「刑事被告人」として報道した。

 司法の「推定無罪論」を待つまでもなく、小沢問題は議会政治の原点である国民の代表者たる国会議員の諸権利を奪ったことで、国民主権の原則に反することだ。社会心理的暴力装置の影響を受けて、刑事被告人が支持する候補者に投票するなという世論誘導が行われた。民主党国会議員が、新ファシズムの手先となって議会政治を潰そうとしていることに気がつかないことが問題だ。ファシズムとは無意識に進行するものだ。

 首相となった野田氏は、未曽有の東日本大震災と、福島第一原発災害の復興対策に増税をもって対応する財務省の傀儡候補だったし、野田大連立構想は民主党の自民党化だ。菅政治の継承と発展を聲高に叫ぶ候補に投票した215人は、日本を滅ぼす新ファシズムの妖怪かも知れない。

 

(民主党代表選挙の総括)


 先ず第一は、国民的人気トップの前原誠司氏が代表選に敗北したが、不思議なものだ。京都にはまだまだ深刻な問題が残っているようだから、これからの展開は神のみぞ知るといえる。

 第二は、新しい民主党執行部の特徴は、労働組合的組織防衛のリアリズムといえる。学級崩壊の収拾役にふさわしい。これでは新しい日本の国づくりはできない。民主党は新たな漂流を始めたといえる。第一回選挙で、悩みながら海江田と書いた177人が、これからの日本をどうつくり変えるか、敗北したとはいえ、この177人の覚悟に期待したい。

 6月2日の内閣不信任決議案騒ぎから、菅首相の退陣、そして代表選挙をひと言で言えば、雨月物語の世界であった。とてもこの世の動きとは思われない事態が続発した。「財務官僚の政治干渉」、「一人宛、20万円の官房機密費」、「前原氏の京都問題によるドロップアウト」等々、雨月物語の作者・上田秋成もさぞかし驚いているだろう。

 秋成は「人間の性は神にも近づけば、獸にも堕する」と喝破している。多くの民主党国会議員が、巨大メディアの妖怪性に気がつかず、その奴隷に成り果てたのが、今回の民主党代表選挙であった。

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