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野田増税は日本を破滅させる!(寄稿論説)

                         日本金融財政研究所所長

                経済アナリスト・菊池 英博

 

「埋蔵金の全額支出と大胆な建設国債発行で国難克服を!

―デフレ下の所得税増税と国債発行杞憂論を排す―」

 

     東日本大震災は増税なしで十分乗りきれる切れる 野田増税は日本経済を破壊する

 

 野田新首相は、就任早々所得税増税をぶち上げ、次いで社会保障と税の一体化と称して、消費税増税を強行しようとしている。日本のデフレは1998年から始まり、すでに13年目を迎えても収まるどころか、東日本大震災によって一段と深刻化し、すでに恐慌的デフレである。今こそ、政府主導の積極的な財政出動による需要喚起と民需の誘発によって、大震災の復興再建と恐慌型デフレの解消に全力を尽くすべきである。

 それには、特別会計の埋蔵金の全額支出と建設国債の発行によって、5年100兆円の緊急補正予算の組成が急務である。こうした時期に増税を言い出すとは、経済オンチで不謹慎といわれても致し方ないのではないか。

 このように述べると、「増税なしで財源はあるのか」「埋蔵金はそんにあるのか、どこにどれだけあるか」、「日本は財政危機だと再三聞かされているが、新規に国債を発行しても大丈夫なのか」という疑問が生じるであろう。

 そこで私は、「日本は世界一、財源の豊富な国であり、財政危機は壮大な虚構である」、「日本は財政危機ではなく政策危機であって、政策を間違えて意図的にデフレ政策を取っているから、税収がどんどん減って行く」「財務省は増税をしたいために、財政危機を煽っており、結果として自らの首をしめちる」「建設国債を新規に発行しても財政危機が生じることは全くなく、国債恐怖症は杞憂である」こと、「デフレ解消には大型の財政支出を継続することが必要であり、5年100兆円の緊急補正予算が国を救う」ことを説明したい。稿を分けて説明する。

 初回の本稿では、野田首相の増税案は財務省の増税路線に乗った危険な政策であり、経済を破綻に導くことになるから、即刻撤回すべきであることを説明したい。

 

「1」「所得増税10年・法人税減税3年凍結」は驚愕の至り

 

 9月16日の新聞は、就任早々の野田首相が東日本大震災の復興費に当てる臨時増税として、「所得増税10年・法人税減税3年凍結」を決定したと報じたことを知った私は、正気の沙汰かと驚愕の至りであった。なぜかといえば、

      「デフレの時には絶対に増税をすべきではない」という歴史的教訓に反すること、

      所得税の増税は長年の不況で最も苦しんでいる中間層まで幅広く及び、しかも10年もの長きに亘って実施しようとしていることは、本来、弱者の側に立つと国民が期待して政権を託した民主党の理念に反する(国民への背信行為である)こと、

      「法人税は実効税率を5%引き下げた上で、同時に2.5%引き上げて実質的に減税する、これを3年間継続し、4年目からはこの2.5%に引き上げを止めて5%の減税を継続する」としている。経済効果がマイナスである法人税引き下げを実施すること自体、財界への迎合政策であり、さらにその原資を所得税に求めていることは、これまた、大企業のために国民を犠牲にした政策である。

まさに財務省の数字合わせだけの、経済のマイナス効果を無視した財務省と民主党税制調査会長の首脳(藤井裕久会長・元財務省)の策略に野田首相が乗ったとしかいいようがないであろう。勿論、こうした愚策を就任早々発表すること自体、野田首相が経済財政無知の財務省傀儡といわれる所以であろう。具体的に述べれば、問題点は次の通りである。

 

*デフレのもとで増税をすれば経済が破綻に向かう

 

 これは昭和恐慌とアメリカ大恐慌の教訓である。昭和恐慌のデフレは、1924年から始まっており、それを無視して浜口雄幸首相(立憲民政党、大蔵省出身)が1930年度から財政支出を前年比で5-10%削減する緊縮財政を強行し、さらに金本本位制を導入して金融引き締めを強行した。

 これで一挙にデフレが進展したのである。1930年にアメリカのフーバー大統領(共和党)は、大恐慌のさなかの1932年に、大不況で減少した税収を補うために国税に消費税を新設して増収を図った。その結果、大不況に喘いでいた実態経済は一段と落ち込み、1929年に比べて株価は90%ダウンして10%まで落ち込み、国民所得(GNP)は半減(47%ダウン)してしまったのである。

日本では1998年から13年間もデフレが継続している(物価の総合指数であるGDPデフレーターは1998年から前年比でマイナス)おり、大恐慌の3年6ヶ月(1926年10月―1933年4月)、昭和恐慌のデフレ8年(1924-1933年)よりも長期化しており、真綿で首を占められるような陰惨なデフレが平成デフレであり、日本はもはや平成恐慌である。「デフレのときに緊縮財政をしてはいけない」は、20世紀の歴史的教訓であるのに、これを無視して2001年から小泉構造改革でデフレ政策を取ってきたことが今日の税収が上がらない弱体化した経済にしてしまったのである。東日本大震災でデフレは一段と進んでおり、所得税であろうと消費税であろうと、増税を言い出すこと自体、実態経済を破壊することであり、かえって税収を減らす。歴史的経済的教訓から見て論外である。

 

*法人税引き下げと所得税引き上げで経済成長はマイナスに転じる

 「法人税の引き下げ効果はマイナス」 

 

 法人税を引き下げれば経済活動が活性化すると考えるのは大きな誤りである。日本の法人税の実行税率は国税ベースで40.69%であり、アメリカ(ニューヨーク)45.95%よりも低く、決して高くはない。しかも大企業の実効税率は海外での税支出があるために日本では実質的に20%程度であって、決して法人税は高くない。さらに言えば、財政危機がクローズアップされてきたギリシャ、アイスランド、イギリスなどは法人税を引き下げたことが財政危機の原因であることが証明されている。イギリスでは法人税引き下げの結果生じた財政赤字を消費税引き上げに求めたために、暴動が起きた。大企業の法人税を減税しても経済効果はマイナスであるのは、次の理由からである。

      法人税減税で余った資金は、デフレで需要不足の日本国内には投資されず、余剰金は外資の投資フアンドの要求どおり、株主配当と役員報酬に回り、資金の海外流失によって、経済効果はマイナスである。

      海外の工場建設に投資されれば、投資収益は配当金として国内に還流される。しかし、その利益処分は株主の采配で決まり、国内の従業員の報酬や国内建設には向かわない。

      企業の国内競争力強化にもならないし、製品コストの低下にはならないし、従業員の賃金の低下にならない。

法人税引き下げ要求は外資が強く求めてきたものであり、日本政府に日本国内で消費税や所得税の増税をさせて法人税の原資を確保させ、国民の富を収奪しようとする手段に過ぎないのだ。

 

「所得税10年継続増税でGDPは最低20兆円減る」

 

 経済成長モデルの世界的権威者である宍戸駿太郎氏のDEMIOSモデルによれば、野田案に基づく所得税増税を10年間継続すると、名目GDPは1年目から減少し、3年目にマイナス13兆円、5年目にはマイナス20兆円となって450兆円まで下落し、その後もこうした低水準が継続する。そうなれば、所得税が毎年約1-2兆円減少し、10年で約15兆円減る。つまり、野田増税による税収増加の効果は帳消しになり、かえってマイナス効果の方が多くなってしまう。

 法人税引き下げ、所得税増税はマイナス効果しか残らない。

 

「2」増税なしで財源はいくらでもある、埋蔵金を全額吐き出せ

 

(1)日本は世界一、財源に恵まれた国であり、世界最大の債権国(純債権額は約270兆円)である。財源としては、①特別会計の埋蔵金最低50兆円と国有財産の売却代金、②建設国債の発行で50兆円、③個人を対象とした無利息国債(相続税等優遇)数兆円、④外貨準備100兆円のうち、国民の預貯金が吸い上げられて米国債に投資されている約80兆円(政府保有)を、1999年9月までのように日本銀行に保有させる、これで80兆円の国民の預貯金が建設国債の原資にもどる。

これら財源の原資は、

      個人預貯金の毎年の増加額10-15兆円、

      経常収支の所得収支の黒字分(海外投融資の利息と配当金)10-15兆円、

      外貨準備に投入されている国民の預貯金100兆円、

      経済成長による自然増収、

      とくに現在では大企業の多額の剰余金があるので、大企業を対象として法人税を引き上げればよい。

 日本で政府(財務省)とマスコミのいう財源とは、埋蔵金か国有財産の売却資金に限られる。こうした考えは、経済の実態を無視した数字合わせで、経済成長を無視し(ゼロ成長を前提)、実態経済を「死に体」として捉えた数字合わせの理屈にすぎない。こうした視点からしか経済を見ないから、増税しか結論がないのであり、日本の政府・財務省・御用学者がいかに実態とかけ離れた認識であるかが判明するであろう。

 

(2)国債整理基金・財政投融資・外国為替特会の埋蔵金を全額吐き出せ、

 

 「埋蔵金はない」と国会で野田財務大臣が言ったが、これは事実に反する発言(ウソ)である。多額の埋蔵金を使わせないようにしたい財務省の主張を反映した発言であり、まさに国民を騙している。                    

図表1「特別会計の埋蔵金」(2010年度決算後、推計値を含む)をご欄願いたい。特別会計では毎年、多額の剰余金(歳入から歳出を引いた余り)が発生しており、この剰余金を決算によって積立金と次期繰越金にわけて「埋蔵」している。主要な特別会計の積立金と次期繰越金を診ると、国債整理基金特会では、2009年度で剰余金が39.4兆円(積立金11.1兆円と前期からの繰越金28.3兆円)があり、2010年度では剰余金が30.7兆円に達している。このうち、「2011年度のために前倒しで国債を発行した資金16.9兆円」と「積立金13.7兆円」がある。日本の国債市場は安定しており、2010年度の特別会計で翌年度の国債発行までするのは筋違いであり、しかも16.9兆円という多額の資金があれば、なぜ景気振興策とデフレ脱却に使わないのか。国債市場が不安定化しそうな事態になれば日本銀行が市場で国債を対象にした資金操作で市場を安定化すればよい。したがって、国債整理基金に30.7兆円もの資金を埋蔵する理由は全くない。とくに積立金は屋上屋であり、13.7兆円もの大金は直ちに取り出して緊急補正予算で使用すべきである。そうすれば増税など吹き飛んでしまう。

さらに、財政投融資特会でも2009年度で積立金が19.7兆円もある。これも取り崩して緊急補正予算に活用すべきである。くわえて外国為替特会でも19.6兆円もの積立金があり、これも放出すべきである。こうみれば,特別会計ですぐに取り崩せる埋蔵金は「2010年度の国債整理基金特会の積立金13.7兆円+2009年度の財政投融資特会の積立金19.7兆円+外国為替特会の積立金19.6兆円で合計53兆円ある。さらに2010年度に国債整理基金で2011年度の国債を購入した資金16.9兆円は全く必要のない行為をしたことであり、この操作を取り消して元へ戻せば、合計で実に69.9兆円の資金が税収として、すぐに使える。

繰り返すと、特別会計には多額の埋蔵金があり、なかでも国債整理基金特会の積立金13.7兆円を活用するだけで、所得税増税は不要である。

 

(3)       税外収入として10兆円は可能

 

さらにこの際 政府が保有している政府系企業の株式を売却すれば、10兆円はすぐに出るであろう。日本郵政株式会社の社株式売却収入で約7兆円、JT(ジャパン・タバコ)、東京メトロ等の株式売却などを集めれば、10兆円は確保できる。即座に資金にならないとすれば、これらの株式を担保にした新規国債を発行すればよい。1997-98年の金融危機のときに、金融危機でありながらわずか10兆円の財政支出を渋った大蔵省を説得するために、自民党の梶山静六代議士は、当時100%政府保有だったNTT株を担保とした担保国債構想を発表し、これが契機となって大手銀行に公的資金を注入する法案が国会の議決を得たのである。当時の大蔵省は1997年に自ら緊縮増税政策で経済危機と金融危機を引き起こしておきながら、わずかな財政支出をケチった結果、金融恐慌を引き起こしてしまったのだ。

 今回の野田増税は財務省の増税案であろうが、すでに大失敗した歴史の繰り返しになる。絶対に粉砕すべきである。

(続く)
特別会計埋蔵金3

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